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【X51.ORG 映画ジャック】

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 重い十字架である。2013年11月に公開されるリメイク版『キャリー』の製作にあたって、監督のキンバリー・ピアーズと主演のクロエ・グレース・モレッツが背負わなければならなかったのは、あのホラー映画の金字塔なのだ。

 名匠ブライアン・デ・パルマと、後の名女優シシー・スペイセクが作り上げた傑作『キャリー』(1976)を、いまあえて、作り直すわけである。

■一度はゴミ箱に捨てられたキャリーの原作

 原作はあのスティーブン・キング。まだデビュー前のキングが一度はゴミ箱に捨てたその物語は、妻がゴミ箱から拾いだす事で奇跡的に甦る。

 そして、その作品はデ・パルマの手により、キング原作としては“珍しく”見事に映画化され、今や押しも押されぬモダンホラーの帝王のデビュー作にして、大ヒット作となったのである。

 とはいえ、そのストーリーは決して難しい話ではない。

 どんなクラスにも1人はいる、地味で変わった女の子がある日、クラスの王子様にパーティーに誘われたら……という、いわば現代のシンデレラ・ストーリー。まるで青春もののテンプレートのような、よくある話である。若きキングがゴミ箱に捨てたのもうなづける。

 しかし墓から手を出すゾンビのごとく、ゴミ箱から甦った原稿に、キングは奇妙極まりない設定を与えた。地味で変わった女の子キャリーは、初潮と共に、なぜか超能力(念力)を発現。さらに不思議なことに、クラスで一番人気の男の子に、プロム(卒業パーティー)に誘われるのだ。

 人生のどん底で超能力を手にし、男にも誘われて夢見心地のキャリーは、いままさに人生の絶頂を迎える。デ・パルマ監督がくるくるとカメラを回し、最高の笑みを浮かべるキャリー。しかしシンデレラの魔法が解けたとき、パーティーは地獄絵図となる――。

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■リメイクは成功したといえるのか!?

 今回のリメイク版『キャリー』の演出は、デ・パルマ版元祖『キャリー』に、極めて忠実である。

 ピアーズはもはや完成された元祖を最大限尊重したのだろう、カット割や台詞まで元祖を忠実になぞりつつも、一部で新たな設定や人物描写を加え、元祖とは幾分異なる解釈も可能とする丁寧なリメイクを行っている。

 一方でスマートフォンやYoutubeといった細かい舞台装置をアップデートすることで、本作は自然な形で現代的リアリティを得ることに成功している。しかしそんなディティールの違いはともかく、本作最大の見所はやはり、ラストのプロムパーティーをどう描いたかに尽きるだろう。

■クロエ・グレース・モレッツは貞子に勝てる!?

 もしも悪魔に憑かれたなら、顔をしかめて奇声をあげ、緑の毒を吐けばよい。しかしもしも超能力を身につけたらーー1976年、そんな難題を突きつけられたスペイセクは、当時人々が見た事のなかった「超能力を発揮する女」という新たなヒロイン像を、見事に作り上げた。その魔眼の表現は後の貞子にまで引き継がれたが、いまだそのオリジナルを超えるヒロインは存在しないと言ってよい(余談だが米国版『ザ・リング2』でスペイセクがサマラ=貞子の母親役を演じたことは、単なる偶然ではないだろう)。

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 そんな映画史に刻まれるあの伝説の「怪演」に、『キックアス』で新たなヒロイン像を切り開いた若干16歳のクロエ・グレース・モレッツが、どんなアプローチで挑んだのか。その結果は、ぜひ劇場で確かめてほしい。

 ちなみに元祖キャリーが作られた70年代半ばといえば、『エクソシスト』や『オーメン』といったホラー映画の名作が次々と生み出された時代である。そんな一連のホラー映画を評し、「結局、神と悪魔の代理戦争」と言ってのけたのはかの澁澤龍彦だが、なるほど相手が悪魔なら、こちらには無敵の十字架があったのだ。

 しかし神も悪魔も関係ない超能力という新たなパワーを前に、もはや人はなす術がなく、十字架もただの記号となることを『キャリー』ははじめて描いたとも言える。そしてその生け贄に、「モダンホラー」の物語は、救いをなくすのだが。
(X51.ORG)

■『キャリー
【STAFF】監督:キンバリー・ピアース/原作:スティーヴン・キング/音楽:マルコ・ベルトラミ
【CAST】クロエ・グレース・モレッツ、ジュリアン・ムーア
11月8日より新宿ピカデリーほか全国順次ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

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