>  > 個性派食虫植物・サラセニアの切り葉
ワンダフル食虫植物

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――食虫植物、人呼んで肉食植物……。それは、虫を食べエネルギーを補給する植物のコトである。植物の形状も千差万別なら、虫の捉え方もさまざま。そんな凶暴だけど意外とカワイイ肉食植物たちの、マニアックで華麗なる生態と周辺事情を紹介する。

 食虫植物といえば、虫を食べる植物の総称で、原種で600種類以上、さまざまな属にまたがっている。

 その中で、食虫植物の仲間のサラセニアは、筒状の形状で、上部に開いた口に落ちた虫を消化・吸収する。原種が8種類(レイコフィラ・プルプレア・フラバ・アラタ・オレオフィラ・プシタシナ・ルブラ・ミノール)、葉に網目模様が入る品種や、口の部分がステッキの持ち手のようの湾曲する品種、口についた蓋にフリルが入る品種など、葉の芸にバリエーションがあるのが魅力で、美しい園芸品種が作出されている。

 そのサラセニアの切り葉が、フラワーアレンジメントやいけばなの花材として、今たいへん注目されている。

 実際にどのように使われているのか、青山にあるいけばな教室「Tumbler&FLOWERS」の渡来徹(わたらい・とおる)先生にお話をうかがった。

「個性の強い花材なので、独自の世界観を表現できます。蛙が口を開けているように見えたり、サイズの違うサラセニアを使うことで親子が団欒しているように見えたり、擬人化しやすく、作品に物語が生まれます。そのため、サラセニアをベースアレンジで作った景色に挿しこみ、ひとつの情景を作っています」

 実際に、生徒さんたちもサラセニアを用いていけばな作品をつくる時には、熱心に渡来先生に背景にある物語をお話するとのこと。

 ここで、サラセニアを用いた渡来先生の作品をご紹介したい。

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ジニアやケイトウの花畑の中にサラセニアたちがパーティーを開いているよう。オクラの切り葉が独創的な世界観の後押しをする
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ブルーベリーの樹の下でサラセニア一家がお花見を楽しむ情景
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こちらはドライの切り葉を使った作品。ジープで冒険の旅へ。サラセニアの躍動感が作品から溢れている

 サラセニアは物語を作る上だけではなく、いけばなを教える際にも役に立つそうだ。
「教室で生徒に教える時に、どの面が花の顔なのか、右を向いているか左を向いているのか、方向を教えやすく、花と花の間の空間の取り方を伝えるのに適しています」(渡来先生)

 初めていけばなに接する生徒さんにとって、植物によっては花の正面がとらえにくく、それを教える教材としてサラセニアは適しているという。
 
 さらに、海外でもフラワーアレンジメントの花材として人気が高い。

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画像は「FLORALVERDE」より
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画像は、「http://rootstoblooms.com/」より

 やはり人気が高いのは、葉に網目模様の入るレイコフィラ系のようだ。丈の短いプルプレアも、小さなブーケを作るのに評判がよい。

 次に、サラセニアの切り葉を出荷している、高知県の生産者の「サラセニア牧場」オーナー、tokさんにお話をうかがった。
 
 こちらでは広大な敷地で多くのサラセニアを栽培、育種し、その切り葉を地元高知、大阪、東京と出荷している。関西のフローリストが直接買い付けにくることもあるようだ。出荷を初めて7年目、徐々に人気が高まってきているのが実感できるという。出荷時期は6月上旬から11月中旬まで。また、サラセニアの花弁が落ちた後のガク花も切り花として、5月の1ヶ月間出荷している。

 ガク花は特に花持ちがよく、上手く管理をすれば1カ月ほどは持つため、今後アレンジメントに多く使われることが期待される。食虫植物愛好家は原種を好む傾向があるが、切り葉に限っては、原種にこだわらず、交配種を含む華やかな外見が好まれるそうだ。tokさんはご自身のサイトで、「サラ劇」というサラセニアを擬人化したストーリーを発表し、ユニークな楽しみ方を提案している。
 

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サラ劇」より

 今後もサラセニアの躍進から目が離せない。

【取材協力】

・「Tumbler&FLOWERS」渡来徹(わたらい・とおる)さん。
TEL 03-6427-4776 東京都渋谷区神宮前5-36-6 ケーリーマンション 1F-B

・「サラセニア牧場」tokさん。


■木谷美咲(きや・みさき)
 1978年東京都生まれ。食虫植物愛好家/著作家。著書に『大好き、食虫植物』(星野映里名義/水曜社)『マジカルプランツ』(山と渓谷社)『月の光で野菜を育てる』(永田洋子氏との共著/VNC)。園芸氏『花ぐらし』(家の光協会)にて「マジカルプランツに恋して」1年連載。ほかに、「育つかな? おいしい野菜」(東邦レオ株式会社「まちなか菜園」web)1年連載。赤旗新聞「食虫植物わが人生」連載など。「タモリ倶楽部」(テレビ朝日)「中川翔子のマニア☆まにある」(日本テレビ系)などTV、ラジオ、雑誌出演多数。

 また、初の食虫植物小説集が電子書籍で発売!『奇想 食虫植物小説集 疾走! ハエトリくん併録 ヴィーナス・フライ・トリップ、食虫植物の妻』(山と溪谷社&インプレスクイックブック)

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