>  > 映画「ブランカニエベス」~闘牛士とフリークスの饗宴~

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©2011 Arcadia Motion Pictures SL, Nix Films AIE, Sisifo Films AIE, The Kraken Films AIE, Noodles Production, Arte France Cinéma

――オカルト界の雄・X51.ORGが、今話題のホラー・オカルト映画を奇怪な目線でジャッジする!

 フラメンコのリズムに彩られて、小人たちが踊る。闘牛という男社会で、女性が猛牛と対峙する。恐ろしい映画である。どれ一つとっても手に余るアクの強いテーマをあたかもマッシュアップするように、美しい一つの物語にまとめあげたのだ。しかもその映像には、全編モノクロームに、サイレント(無声)という手強い「条件」をつけてーーー。

 スペイン語で「白雪姫」を意味する「ブランカニエベス」は、その名の通り、グリム童話の「白雪姫」を骨格にしたダーク・ファンタジーである。そう聞くと、近年ヒットした「赤ずきん」や「アリス・イン・ワンダーランド」のような、童話の現代版リメイクを連想するかもしれない。しかし本作は、そうしたリメイクとは完全に一線を画している。主人公はお姫様でなく、女性闘牛士。「姫」を囲む6人の小人は、映画「フリークス」(トッド・ブラウニング監督/1932)を彷彿とさせる小人の旅芸人なのだ。まるでてんこ盛りの要素にB級映画の予感満載だが、若きスペインの監督、パブロ・ベルヘルはこの危なっかしい物語を、見事なバランス感覚で描ききってしまった。


■あらすじ

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©2011 Arcadia Motion Pictures SL, Nix Films AIE, Sisifo Films AIE, The Kraken Films AIE, Noodles Production, Arte France Cinéma

 映画の舞台となるのは、1920年代のスペイン。当代一の闘牛士と美貌のフラメンコダンサーの間に、主人公の少女、カルメンは生まれた。しかし誕生と同時に母親の不幸に見舞われ、カルメンは意地悪な継母の下で辛い幼少時代を送る。そんなある日、父親の財産目当てで娘の殺害を目論む継母により、カルメンは瀕死の重傷を負う。しかし彼女は通りかかった「小人闘牛士団」に助けられ、やがて彼らと巡業の旅にでる。カルメンは記憶こそ失っていたが、子供の頃、父親に仕込まれた闘牛の技だけは身体が覚えていた。陽気な小人たちに囲まれ、女性闘牛士として覚醒したカルメンは、次第に名声を獲得していく。そして迎えた大舞台。かつて父親が立ったセビーリャの闘牛場で、猛牛を前に、彼女は遂に自分の過去を思い出す。しかしその観客席には、あの継母が毒リンゴを手に現れるのだーー。


■抑圧されたものたちが鮮やかに甦る

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©2011 Arcadia Motion Pictures SL, Nix Films AIE, Sisifo Films AIE, The Kraken Films AIE, Noodles Production, Arte France Cinéma

「白雪姫」という有名な物語を下敷きにしている以上、途中まで見ていれば、その結末は大体想像がついてしまう。ところが常に形勢逆転の危険を孕む闘牛の如く、監督は無意識に予定調和を期待する観客に、鮮やかな「復讐」をしかける。そしてその果敢な試みによって「白雪姫」という物語は見事に換骨奪胎され、新たな寓話として現代に「甦る」のである。

 近年、動物保護の観点から批判され衰退している「闘牛文化」。そして近代欧米で流行し、人権団体の一方的な批判を受けて終焉した「フリークショー」(NYの裁判で人権団体と法廷で争ったのは出演するフリークス達自身だった)。さらにフラメンコをスペインにもたらしながら、現在まで社会問題化している「ジプシー」。現代においては抑圧された彼らが、元気にスクリーンを飛び回るのは、それだけでも痛快である。それは白雪姫の継母に対する「復讐劇」であると同時に、複雑なスペイン社会で抑圧されてきた者達の「復讐劇」でもあるのだ。そして映画が終わる頃、きっと観客はこの映画がモノクロームとサイレントであることさえ忘れ、物語にのめり込んでいるだろう。それは過剰演出の似た作品ばかりが大量消費されていく、現代の映画産業に向けられた、華麗な「復讐劇」でもあったのだ。
(X51.ORG)

ブランカニエベス
2013年12月7日(土)から新宿武蔵野館ほか全国絶賛公開中!
監督・脚本・原案:パブロ・ベルヘル
音楽:アルフォンゾ・デ・ヴィラロンガ
出演:マリベル・ベルドゥ、ダニエル・ヒメネス・カチョ、アンヘラ・モリーナ、マカレナ・ガルシア
配給:エスパース・サロウ

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