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「ムー」編集長・三上丈晴の【ムー的書籍探訪】 第7回

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三上丈晴

――「世界の謎と不思議に挑戦する」をコンセプトに掲げ、UFOからUMA、都市伝説、陰謀論……と、さまざまな不思議ジャンルの話題で、読者に驚きと感動を与えてきた学研「ムー」。ここでは、そんな「ムー」を操る三上丈晴編集長が厳選した“マストブック”を紹介しながら、世の中の不思議に深く触れていただきたい。

【Tocana Reader's MustBook No.7】
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『恐怖の幽霊物件』(ムー・スーパー・ミステリー・ブックス) 

 初めて足を踏み入れた瞬間、ぞっとした体験をお持ちの方は少なくないだろう。引っ越し先にと、下見をするためにやってきたアパートやマンション、一戸建ての家にて、なんともいえない気分に襲われることがある。敏感な人は、それこそいないはずの人間の気配や視線を感じ、能力者は見えない主の姿を目にする。

 そう、これが世にいう「幽霊物件」だ。幽霊物件は、往々にして前の住民が何らかのトラブルに巻き込まれたり、事故や事件によって不幸にも、この世を去ったケースがほとんどだ。居住の物件に限らず、ホテルや旅館の部屋にも同じことがいえる。

 あれは確か、オノコロ島伝説を取材しに淡路島を訪れたときのことだ。筆者とふたり、旅館に宿泊することにしたのだが、ここで出た。

 旅館自体は、とくだん古い老舗というわけでもなく、また、とりたてて気味が悪いわけでもなかった。ごく普通の旅館だった。1日の疲れを取るために温泉に入り、体を癒すために風呂上がりのビールを少々、ほろ酔い加減で床に就いたまではよかった。

 電気を消し、真っ暗な状態で、ふたりは寝た。季節は春ごろだったが、部屋の中は、かなり暖かったことを覚えている。筆者の寝息が聞こえ始めたころ、急に掛布団が重くなるのを感じた。眠りに落ちかけた意識がふいに戻り、ふと瞼を少し上げた。

 髪だった。長い髪が目の前に垂れている。明らかに女性の黒髪が眼前に揺れている。夢でも見ているのか。いや、隣で寝ている筆者の姿もはっきりと確認できる。もしや、この部屋の主がおいでになられたか。と思った瞬間、お約束の金縛りだ。身動きひとつできない。掛布団が体操のマットを重ねているかのようだ。

 まずい……こうなれば相手が何者かを確かめねば。力いっぱい目を見開くと、ワンレンの女性は白い服を着ている。和服のようだ。頭に三角巾はなかったが、典型的な和風幽霊スタイルである。幽霊様は掛布団の上に正座している。幽霊にしては体重があるなと思いながら、長い髪の向こうにあるはずの顔を伺うものの、なかなか見えない。表情は確認できないが、明らかに、こちらを覗き込んでいる。

 こう着状態が続く中、徐々に掛布団が重くなっていく。ほとんど拷問に近い。全身の血が逆流し、血圧が上昇するのがわかる。金縛り状態のまま、なんとか力を振り絞り、思いっきり絶叫!! 

「うぉぉっ……」

 声を張り上げたつもりだが、実際は、悪夢にうなされる寝言のようなものだったに違いない。3度目の絶叫の後、あたかも高い所から落ちるような感覚で、そのまま意識がシャットダウン。気がつけば、朝だった。

 よっぽど宿の人に聞こうと思ったが、やめた。幽霊の取材ではないからだ。なぜに現れたのか、理由はわからないが、おそらく、この部屋で亡くなったか、宿にゆかりのある方だったのだろう。もしかしたら、自分の「ムー」に載せてほしかったのかもしれない。幸いにして被害はなかったので、ある意味、貴重な体験をしたと思っている。

 しかし、世の中の幽霊物件が、みな、こうだとは限らない。身の毛もよだつ体験をした方もいる。そうした彼らの生々しい事件をレポートしたのが本書、『恐怖の幽霊物件』である。筆者の西浦和也氏がすべて現場を検証しており、実にリアルだ。怪談として楽しむだけではなく、心霊研究にとっても貴重な1冊である。

●三上丈晴(みかみ・たけはる)
1968年、青森県生まれ。学研「ムー」の5代目編集長。筑波大学を卒業後、学習研究社(現・学研)に入社。「歴史群像」編集部を経て、入社1年目より「ムー」編集部に所属。

●「ムー」
出版社:学研パブリッシング/発売日:毎月9日/税込価格:670〜690円/発行部数:7万部/概要:「世界の謎と不思議に挑戦するスーパーミステリーマガジン」として、UFOや超能力、UMA、怪奇現象、オーパーツ、陰謀論など、オカルト全般を追求する情報誌。
公式HP<http://gakken-publishing.jp/mu/

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