本物のベートーベンは、“髪の毛の価値”も高かった!!
■死してなお、数奇な“運命”を辿った髪の毛
なかでも特筆すべきは、ゲヴァラという人物による毛髪の入手経路とその行方だろう。 ベートーベンのたてがみのような髪の毛は、死後多くの輩によって持ち去られ、その後、アメリカ議会図書館や大英図書館、ベートーベン・ハウス博物館などの機関を含むさまざまな人の手に渡ったといわれている。さらに、遺髪などから合成ダイヤモンドを製造する業者によって、ベートーベンの髪の束で100万ドル(約1億1500万円)相当の人造ダイヤモンドを造れたり…と、ベートーベンの毛髪の価値はとどまることを知らなかった。
19世紀ドイツのユダヤ人作曲家フェルディナンド・ヒラーは、敬愛していたベートーベンの死の直後、髪の毛の束をいくつか切り取り、ロケットに入れて持ち帰ったといわれている。1833年、フェルディナンドの息子がそれを受け継ぎ、1911年に、そのロケットを修理に出した後、長い間その毛髪の在りかはわからなくなっていた。が、1943年、デンマーク人医師ケイ・フレミングが、ナチス占領下のデンマークで、ユダヤ人の亡命を手伝った謝礼としてその毛髪を入手。その後、遺髪はロンドンに渡り、1994年、ベートーヴェン研究家アイラ・ブリリアント氏と会社経営者Dr.アルフレッド・ゲヴァラによって、サザビーズ(ロンドンにある美術品競売会社)のオークションで、$7,300(約74万円)で落札される。そして、落札した毛髪をサンノゼ州立大学ベートーベン研究所に寄贈した。巡り巡って遺骨と遺髪が一つの場所にそろい、このDNA鑑定が可能となったのである。
人の値打ちは死んだときにわかるという。墓の盗掘は決して喜ばしいことではないが、ひとつの名声の証しともいえるだろう。遺骨、遺髪ともに然るべき場所に戻り、その真贋が証明された今、ベートーベンの魂はようやく安息の眠りについているのだろうか…
(文=雅代ノワール)
※参考「listverse」
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