宇宙で盲腸は超大変!! 無重力下でメスを握るのは誰だ?
■今後の課題は?
さて、宇宙で使用するロボットは重量に配慮しなければなりません。ロケットの打ち上げには莫大なエネルギーが必要となるため、搭載するものは1gでも軽くしようと試行錯誤されています。何10kgもあるような医療器具を宇宙へ持ち込むことは当然できませんが、その点、今回開発されているロボットは、約400gと非常に軽量なので問題ありません。
その一方で課題もあります。地球から遠くなればなるほど、通信に遅延が生じるのです。火星との間では往復で30分以上の遅延となり、今のところ地球からの遠隔操作による手術は不可能です。現状、それに対する解決策は、「飛行士たちが互いにロボットを使えるようにする」という非常にシンプルなもののようです。やはり宇宙飛行士には高い能力が求められますね。
資源とエネルギーの枯渇が懸念される今後、それらを求めて宇宙を探索することがあるかもしれません。そのような中、宇宙で使うことを目的としたこのロボットは、地上でも有効活用できそうですね。宇宙開発の技術によって生まれた製品は多々ありますが、今回の技術も、地上の遠隔医療での応用が期待できるかもしれません。
(文=杉田彬)
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