>  > アップルストア・アイドル誕生物語【後編】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • コメント0

【前編はコチラ

 カリフォルニア出身、歌とダンスとアップルストアが大好きなトレバー・モーラン少年は、2012年5月までに18本のアップルストア・ダンスを投稿した。うち18本目に至ってはプロの趣だ。ダンスの冴えもWebカメラを扱うテクニックも格段に向上し、パワーアップしていることが映像から見て取れる。

18本目のビデオ「YouTube」より

 表情に現れたパフォーマンスへの入り込み具合は相当のもの。周囲の客もアップルストアのスタッフも目に入らない(というか、気にしていない)。店内を縦横無尽に踊り回るトレバー君。もはやアップルストアは彼だけのステージと化している。そして、踊り終わった後に店中から沸き起こる歓声と拍手! 店内のお寒い反応を気にしながら、おどおど踊っていた頃にはあり得なかった反響だ。アップルストア・ダンスを始めて約2年半、トレバー君はパフォーマーとして成長した。そして、まるで売れない演歌歌手のドサ回り営業のように、誰にも望まれていないなかでの地道な “アップルストア・ツアー” を通して、彼は確実に表現の場を獲得してきたのだった。


■オーディション番組「Xファクター」で熱唱

 アップルストアでの無邪気なパフォーマンスで、数百万人を熱狂させたトレバー・モーラン君。この無邪気な少年が、全米アイドルとしてのサクセスに至る最初の転機はYouTubeとの出会いだった。2つめはアップルストアでのダンスパフォーマンス。そして、3つめは欧米で有名な素人参加型スター発掘オーディション番組、「Xファクター」への参戦だ。

 この番組は、もともと2004年にイギリスで放映が開始され、ワン・ダイレクションなどのスターを輩出してきた。ソニーミュージックエンタテインメントの協力のもと、プロデューサーのサイモン・コーウェル氏により制作され、FOXが放送を担当したアメリカ版「Xファクター」は、コーウェル氏の音楽レーベル、Syco Musicとの契約と、500万ドル(シーズン3からは100万ドルに変更)もの高額な賞金がウリだった。

 YouTube界隈でこそ一定以上の人気を獲得したトレバー君とはいえ、ショービジネスの世界では無名の素人パフォーマーに過ぎない。著名なプロの審査員とリアルな観客の前で演じることからくる極度の緊張もあり、空きっ腹にエナジードリンクをキメて予選に挑んだらしい。

Xファクターでの映像「YouTube」より

 スタジオの隅で家族が見守るなか、トレバー君はパフォーマンスを開始。歌い始めこそ強ばった面持ちだったものの、曲が進むに従い歌とダンスに没頭。LMFAOの「Sexy and I Know It」を全身全霊で熱唱した。オーディエンスは大いに沸き、総立ちで彼の熱演に応え、審査員も満面の笑顔。そして、「あなたのことが大好き。心底惚れ惚れしたわ。最初から最後まで楽しかった」とコメントしたブリトニー・スピアーズを含む審査員4人全員の支持を獲得し、トレバー君は予選を突破したのだ。「世界の頂点に到達した気分だった」と後に彼は語っている。

 ところが数カ月後、彼は落胆の淵に落とされる。「Xファクター」のオーディションの次のステップ、ブートキャンプで“バッドソングチョイス”と審査され落選したのだ。

コメントする

お名前
コメント
画像認証
※名前は空欄でもコメントできます。
※誹謗中傷、プライバシー侵害などの違法性の高いコメントは予告なしに削除・非表示にする場合がございます。