>  > 不振フジHD株主総会で起きた“疑惑の拍手”?

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「簡潔にお願いします」「制限時間を越えています」

 株主からの「役員75歳定年制の導入」の提案説明が佳境に入ると、76歳の日枝久会長は、何度も言葉を発して発言を遮った。

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 6月27日、お台場。フジ・メディア・ホールディングスの第73回定時株主総会が、本社ビルに近接する、ホテル・グランパシフィック・ル・ダイバで行われた。

 前半は、映像を用い経営が好調であるかのように説明されたが、視聴率競争に敗れ、在京民放キー局5社のうちで、大幅減益(営業利益16.2%減、純利益44.8%減)と、フジが「一人負け」状態になっている現実は覆い隠せない。

 株主からの提案説明の段になると、とたんに会場は緊張に包まれた。


■不振の責任追及と、役員75歳定年制

 最も注目されたのが、役員75歳定年制である。

「当社の取締役、社外取締役、監査役、社外監査役は、その選任に当たる定時株主総会の開催日に、満75歳未満でなければならない」との条文を、定款に加えるべきだとの提案である。

 取締役16名の平均年齢は67.4歳。75歳を越えているのは、監査役を含めると9名だ。雛壇に座りながら、居眠りをしている役員も何人かいる。株主に配られた議案説明書には、「取締役会としては、本議案に反対いたします」として理由が書かれている。

 提案者の1人である松沢弘氏が、マイクを握ってこれに反論した。

「私は年齢差別をする気は全然ありません。80、90になられても、立派に会社を経営されている方もおられます。取締役会の意見には、『適性は年齢だけで判断すべきものではないと考えております』と、ありますが、そこには私も賛成します。ですがその後、『当社の取締役および監査役として適任であると判断した人物を候補者としております』とありますが、在京テレビ局5社の中で、フジ・メディア・ホールディングだけが、なぜ大幅な減益に陥ったのか? この一人負けの状況を見ると、経営者としての適格性に欠ける、としか言いようがありません」
 
 壇上の日枝会長から、「制限時間越えてます」と声がかかる。
 
 松沢氏の発言は続く。

「特に日枝さんは1988年に社長になり、92年に主人殺しといわれる鹿内家へのクーデターをやって以降、26年にわたって……」

 日枝会長が声を荒げる。

「一分半過ぎてます! 制限時間を守ってください! 他の株主の方のためになりません!」

 松沢氏は、日枝会長自ら率先して退くことを、重ねて求めた。

 他の株主からは、「笑っていいとも!」後継番組の「バイキング」が2%にも満たない視聴率になっていることへの質問も上がり、経営者としての不適格性は浮き彫りになるばかりだ。

 松沢氏と、少数株主の権利擁護活動で実績を積み重ねてきた山口三尊氏とで、共同提案された議案は3本あった。

 その一つは、労使協調経営だ。

「当社グループ各社は、経営にあたり、労使の協調に努め、その規模や組織形態で労働組合を差別したり、無視もしくは敵視することなく、話し合いでの問題解決にあたることを重視するものとする」の文言を定款に加えよ、との提案だ。

 これに対しても取締役会の意見は、反対となっている。

 松沢氏が発言に立つ。

「労働組合法や憲法に則って、話し合いによる団体交渉で解決しようと、そういうことですよ。労使仲良く話し合いで解決しようということに、反対する経営者がいるとは思いませんでした。驚きました」

 フジサンケイグループには、産経労組とフジテレビ労組があるが、産経労組は1956年にはスト権を放棄し、労組の委員長が会社の取締役会に出席するという“会社と一体の組合”である。

 松沢氏はフジサンケイグループの日本工業新聞社(現フジサンケイ・ビジネスアイ)に1971年に入社すると、産経労組の御用組合ぶりに気づき、長年の活動を経て、94年に労働者の立場に立つ組合、反リストラ産経労(労働組合・反リストラ・マスコミ労働者会議・産経委員会)を結成した。すると会社は、委員長である松沢氏を自宅から遠方の職場に配転するなど、露骨な嫌がらせを行った末に、懲戒解雇したのだ。

「私は懲戒解雇処分を受けていますが、そうやって労働組合の代表者を叩きつぶしていこうというわけですか。日枝さん、あなたがフジテレビ労組の書記長として頑張った初心は、どこに行っちゃったんですか。記者職から営業職に飛ばされたり、いろいろ苦労されたと聞いています。その書記長出身のあなたが、労使協調経営は嫌だとは、どういうことですか」

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