>  > 人間イモムシ「ランディアン王子」

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 いつだったか、海外の不思議系メディアをサーフィン(これって死語、もしかして?)中に、とんでもない画像を見つけた。人間イモムシこと、「ランディアン王子」(Prince Randian/1871?~1934年)の、堂に入った寝そべり姿だ。

 その時は、「王子様」の称号と、酸いも甘いも噛み分けた見性成仏ともいえる高貴なお顔から「遠い昔、中東かアジアのどこか見知らぬ国にそんな王族がいたのかなぁ」と、思いを馳せたままそれきりになってしまったが、ここ数日、ふと思い出して調べてみると、実にトカナ向きの題材に見えたので、今回ご紹介させていただくことにした。

 ちょうど、天野ミチヒロ氏も映画「フリークス」について興味深い文を寄せていることだし…。


■王子なのに畸形芸人

Randian.1906.jpg
Prince Randian

「ランディアン王子」は、以前記事を書いた「テキサスの四本足少女」ことジョゼフィン・マートル・コービン同様、20世紀初頭のアメリカで、絶大な人気を博した畸形芸人だ。またの名をスネークマン、生きたトルソー、人間イモムシとも。

 だが、四本足少女のマートルとは逆に、このプリンスには生まれつき、両手と両足がなかった。画像をご覧いただきたい。

 5世紀半ば頃、インドから中国に禅宗を伝えた達磨大師(岩壁に向かって座禅に打ち込むあまり、手も足もなくなってしまっというあの伝説の人物)を思わせるふしぎな艶姿だ。

 これは、「テトラアメリア症候群」と呼ばれる、きわめて稀な先天性障害。Wnt3(体内の細胞から産生される分泌型のタンパク質)にかかわる遺伝子の変異が引き起こすとされ、テトラ無肢症候群とも言う。


■生まれた国は「ガイアナ」 サーカスに流れ着いた王子さま

prince01.bmp

 王子は1871年頃、奴隷である両親の下、旧英領ガイアナ(現在のガイアナ共和国)のデメララというところに生まれたらしい。そして1889年、たぶん18才のとき、稀代の興行主P.T.バーナムの目にとまり、アメリカに「輸出」された。物の売買とされたのか、それともきちんと契約をとり交わしたのか、そのあたりはちょっとわからない。

 さて、バーナム氏とは、1871年に、ニューヨークはブルックリンに「バーナムのアメリカ博物館」を立ち上げた、歴史上最も有名な見世物興行主の1人だ。彼のショーはサーカスと動物園、またフリークス(畸形の人々)と蝋人形がまぜこぜになった、当時の一大アミューズメントで、「160才の黒人女性」や小人の「親指トム将軍」など、市民の魂の闇の部分をざわつかせる怪スター、珍キャラを多数かかえていた。

 その後、1881年には「バーナム・アンド・ベイリー・サーカス」と改称し、ロンドン動物園から買いとったアフリカ象のジャンボを旗印に世界中を巡業したが、「世界最大のショー」を売りにするバーナム一座にとって、フリークスが目玉の演目であることに変わりはなかった。


■架空の国の皇太子ご夫妻

 読者諸賢がすでにお気づきのように、実は「ランディアン王子」とは芸名にすぎない。では本名は? ひどい話だが、彼には名前がなかったようで、正確な生年も不明だ。ガイアナでの境遇が忍ばれるというものだ…。

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