>  > 【閲覧注意】死体の「園芸師」ハーゲンス

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 人間には、古来、コレクションというふしぎな欲望がある。この世の森羅万象を、いわばオブジェとして手元に置きたい、集めたいという炎のような飢餓感だ。動物園や水族館なら生きたまま、博物館なら剥製や化石というナチュール・モルト(死んだ自然=静物)として─。

 この飽くなき渇望の最も基層に潜む感情は支配欲、つまりは神へのジェラシーなのではあるまいか? 世界を創造できない私たちは、せめて世界の片鱗を蒐集して、かの姿にあやかりたいと願う…と、筆者などは思うのだが…。


■人体の最果てにようこそ

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画像は、YouTubeより

 さて、今回、ご紹介したいのは解剖学の鬼才、あの「人体の驚異」展でならした、「死の医師」グンター・フォン・ハーゲンスの華麗なる「遺体彫刻」の数々だ。それは医学を口実にした、“咲きほころぶ、妖かしの肉の花園”だとすら思わせる。

 まずは、2つの画像をご覧いただこう。まるでベーコンかなにかのような人体スライス。筆者の知人の1人は、これを見てからビーフ・ジャーキーが食べられなくなったそうだ。それはともかく、歴史上、これほど意表を衝く人体像も、またとあるまい。

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画像は、YouTubeより

 フィルムや劇画などで、すでに私たちは、真っ二つに切断された肉体に馴れている。しかし、これは横断面ではなく、ペラペラになった縦断面だ。合成樹脂を注入して固め、不朽化した人間のボディーを、オニオン・スライスにしようなどというアイディアは明らかに綺想、いや狂気に紙一重の妄想に違いない。だが、ハーゲンスはそれをこの世に実現してしまった鬼才中の鬼才なのだ。私は、そんな彼の背徳的でアクロバティックな演出に激しく魅せられてしまう不謹慎な自分を、いささか持て余している。


■空っぽにされた秘密

 次の画像もまた、興味深いものだ。

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画像は、YouTubeより

 見事、真一文字に断ち割られ、観音開きになった男性の身体…。脳も臓器も、血管系も神経系も、すべてをあけっぴろげにしている。人体という厚い秘密の扉が、文字通り、開襟シャツのように白日の下にさらされてしまっている。魂は一体、どこに消えたのか?

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画像は、YouTubeより

 これはもはや、人の体ではない。かつてそうであった、“なにか”だ。人間の尊厳とか死者への敬意とか、また哀悼とか、そんなヒューマニズムやセンチメンタリズムはドライヤーでカラカラに乾かされて、お掃除ロボット・ルンバ君に吸い込まれてしまい、残酷という言葉が、ここではまるで周回遅れのランナーのように滑稽に思えるほどだ。

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