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※イメージ画像:Thinkstockより

 福井刑務所内の拘置施設に勾留されていた男性に宛てた手紙が、『宛名に書かれた漢字が誤字だった』という理由で、本人に届いていなかった事実が判明した。

 勾留中の男性は、異字体がある漢字の苗字を持っていた。そのため、刑務所側は本人が申請していた漢字以外の文字を使った手紙を“別人に宛てられた”と判断し、『名宛て人不明につき返戻いたします』という付箋をつけて差出人に返送していたとのこと。

 また勾留中の男性の元には、今年の3月までは宛先人に誤字があっても、手紙は届いており、4月になってから手紙が届かなくなったという。この事実を知った福井弁護士会は、福井刑務所と法務大臣に対して、刑事施設の被収容者における通信の事由を求め、外部から手紙をもっと自由に受け取れるよう、是正すべきだと勧告書を送った。
 
 この事件に関して、刑事施設に詳しいライターのごとうさとき氏に、あまり知られていない刑務所事情について詳しく聞いてみた。


■知られざる刑務所事情

――刑務所にいる人宛ての手紙が本人に届かないことは、よくあるのでしょうか?

「そんなに珍しいことじゃないですね。原因としては、宛先人がいない場合が挙げられます。今回の話も場所は刑務所ですが、実際はまだ裁判で刑が確定する前の“被告人”です。都市部でしたら専用の拘置所がありますが、そうでない地域ですと刑務所内に拘置支所を作って裁判中の被告人を収容しています。

 拘置所と刑務所が、区別できていない人が多いのはこのような理由もあります。また被告人は保釈が認められれば、保釈金を積んで解放されるため、長期間拘置所に入っている人はあまりいません。拘置所を出て行った人宛てに、手紙が届くのは珍しくはないんです。拘置所や刑務所には、どこでも『名宛て人不明につき返戻いたします』と、印刷された付箋やスタンプが用意されていますからね」

――では、今回のトラブルで刑務所側に落ち度はないと?

「いや、それとこれとは話が別です。少なくとも旧仮名遣いや誤字も含めて、被収容者に該当者がいると思うのが、当たり前でしょう。判断に悩むのなら、被収容者自身に直接聞けばいいだけですしね。今回の件は、そのような気配りが欠けているところが問題なんです。

 また、今回の福井の件では、3月までは多少誤字があっても手紙が届いていたと報じられています。今回の事件は4月1日付の人事で、所長が変わったことも一因だと思いますね。刑務所では、所長が絶対の権力を持っています。今までゆるかった規制が、所長が変わった途端、厳しくなったりするようです」


■所長は刑務所の独裁者?

――所長次第で、そこまで変わるものですか?

「変わりますね。刑務所の決定権はほとんど所長が独占しています。まるで独裁国家みたいですよ。そして刑務所の怖いところは、内部事情が滅多に外に漏れない点です」

――わざわざ取材のために罪を犯す人もいないですしね。
 
「例え、そのような無謀なことを計画した人がいたとしても、狙った刑務所に行くためには運も必要です。犯した罪のランクによって、ある程度収容される刑務所は絞り込めますが、刑務所側の収容人数の関係もありますからね。

 そのため、刑務所の内部事情は、徳島刑務所のように隠しきれないほどの暴動が起きたり、名古屋刑務所事件のように死者でも出ない限り、公になることはほぼありません」

――あまりにもヒドイ行為を受けた受刑者が手紙で外部に助けを求めることはできないのでしょうか?

「刑務所内にいる受刑者や被告人の出す手紙は、全て検閲されています。受刑者から手紙には、便箋1枚1枚に刑務所の検印が押してありますよ。その検印を見ただけで、どこの刑務所から出された手紙なのかわかる人もいるらしいです。

 たまに『こんな内容書いて、よく検閲をパスしたな…』と思うような内容の手紙もありますけどね。
 
 どちらにせよ、手紙を出す相手や届いた手紙を渡す権限というのは、すべて刑務官が握っています。これも所長の意向次第で、昨日までOKだったものが、今日からはダメになる、なんてこともありえますね」

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