死んだ心臓を“生き返らせて”移植成功! ドナー不足を解消する驚愕の新技術登場!!=豪

■心臓の心停止後提供が可能に

 慢性的なドナー不足の対策として、欧米では1990年代からDCD(心停止後臓器提供、donation after cardiac death)が普及している。DCDとは、提供者の事前の同意の下に行なわれる心停止後の臓器提供のことである。したがって提供者が完全な脳死状態ではない状態での臓器摘出も起り得る。

 このDCDによって提供される臓器は増えたが、何しろ“心停止後”のことであるために、他の臓器ならともかく、心臓の移植利用は極めて難しい。加えて提供者の権利を守る倫理的・法的規則である「dead donor rule」に従い、心停止後は最低5分間待たなくては臓器を取り出すことができないという事情も心臓の提供を妨げている。

 この心停止後5分間の低酸素状態が心臓に大きなダメージを与えることから、DCDは心臓移植には向かないとされ、これまで行なわれてこなかった。しかし、今回の手術では新たに開発された技術により、この心停止後の“死んだ”心臓を再び生き返らせ、移植することに成功したのだ。同病院では、心停止後20分経過した心臓も実際に蘇生させたという。

「我々は、この箱型の機器の中で心臓を再び動かす技術を開発しました。摘出担当医がすることは、無事に取り出した心臓を機器に入れて保存液を注入し、鼓動を再開させるだけなんです」(ピーター・マクドナルド教授)

 現在のところ、この「心臓蘇生機」と「臓器保存液」の詳細な情報については一般には公開されていないようだ。今回の移植手術を行なった医師の1人、ポール・ジャンツ医師は、「今の我々が持つ技術を、北アメリカやヨーロッパの関係者はとても羨ましがっていますよ」と取材に応えている。そして同病院では、この技術によってこれまでよりも30%多い命を救えるはずだと確信している。

 医療における日進月歩の技術革新には驚かされるばかりだ。取り出した心臓を蘇生させることができるということは、ひょっとすると今後は“死体”そのものを生き返らせる技術が発達していくのかもしれない。人類の夢、“不老長寿(不死!?)”に向かって、医療は着実に前進していることを実感させられた次第だ。
(文=仲田しんじ)

参考:「Daily Mail」ほか

関連キーワード:, , , , , ,

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

仲田しんじの記事一覧はこちら

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

人気連載

danger
イタコ、霊媒、エロ祈祷…エログロナンセンスな超常現象ドキュメンタリー『恐怖・怪奇・悪霊 超常現象の世界』とは?

イタコ、霊媒、エロ祈祷…エログロナンセンスな超常現象ドキュメンタリー『恐怖・怪奇・悪霊 超常現象の世界』とは?

※こちらは2020年の記事の再掲です。 ――絶滅映像作品の収集に命を懸ける男・...

2024.02.27 08:00奇妙
青酸カリで人を殺すのは意外と難しい。推理小説のトリックは概ね間違いだった!?

青酸カリで人を殺すのは意外と難しい。推理小説のトリックは概ね間違いだった!?

【ヘルドクター・クラレの毒薬の手帳 第1回、青酸カリ/後編】  ※本記事は2...

2024.02.07 08:00科学
【毒薬の手帳】ググっても出てこない、青酸カリの本当の話

【毒薬の手帳】ググっても出てこない、青酸カリの本当の話

本記事は2015年に掲載された記事の再掲です。 【ヘルドクター・クラレの毒薬の...

2024.02.06 08:00科学
九州地方で正月に行われていた飲尿儀式の伝統があった!?

九州地方で正月に行われていた飲尿儀式の伝統があった!?

※本記事は2018年の記事の再掲です。 【日本奇習紀行シリーズ】 九州地方 ...

2023.12.30 08:00奇妙
運気を爆上げして「引き寄せの法則」を発動!! 激動の時代を生き抜くための波動グッズ3選

運気を爆上げして「引き寄せの法則」を発動!! 激動の時代を生き抜くための波動グッズ3選

癒しフェア 2024in大阪 広瀬学 講演 「アリス矢沢透のなんでも応援団!内...

2024.04.19 10:00スピリチュアル

死んだ心臓を“生き返らせて”移植成功! ドナー不足を解消する驚愕の新技術登場!!=豪のページです。などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

トカナ TOCANA公式チャンネル