>  > 【オカルタンカ】ツチノコを詠んだ素晴らしすぎる短歌

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笹公人

連載:笹公人のワクワクするオカルタンカ~言霊念力トレーニング~
※この連載は、読者のみなさまの短歌の投稿を元に展開します。今回ご応募する短歌は「巨石」です。ぜひ、ご応募ください(応募方法は、記事下ボタンより)


 これは、6年前の話です。NHKーBSの短歌特番で、戦前を代表する歌人「若山牧水の生家を訪ねる」という企画があり、宮崎県日向市坪谷に行きました。牧水の生家は山の麓にあり、生家の裏には歌碑が建っていました。

 ロケを終えて、出演者やスタッフと山道を歩いていた時のことです。山道の真ん中に水道のホースらしき物体が落ちていました。なぜこんなところにホースが?! と思って眺めていると、ホースがにょろにょろと動きはじめました。なんと、ホースだと思っていたものは、メタリックブルーにきらめく50センチくらいの謎の生命体だったのです。

UMAだ!!!」

 ぼくは興奮してデジカメのシャッターを切りまくりました。捕獲しようかどうか迷っていると、それを察したのかUMAは岩陰へと逃げていきました。帰京したら、すぐに『ムー』編集部に連絡するぞ! と興奮しながら、隣を歩いていた伊藤一彦先生(歌人)に、UMAを写したデジカメ画像をお見せすると、

「あー、これは『かんたろう』だよ」

 とおっしゃいました。

 かんたろう……?

 あんなにメタリックブルーにきらめく奴が、「かんたろう」!?

 一瞬、頭が混乱しました。あんなに嫌な光り方をする奴にしては名前が素朴すぎる!  せめて「カンターレ」とかいう名前にすべきだ! とにかく、織田信長の黒人の家臣が「弥助(やすけ)」という名前だと知った時のような驚きがありました。

 ぼくが未知生物だと思いこんだそれは、地元では「かんたろう」という名で親しまれる(?)巨大ミミズだったのです。正式には、「シーボルトミミズ」というそうです。

Pheretima_sieboldi_siborutomimizu_01.jpg
シーボルトミミズ Wikipediaより

 UMAでなかったことは残念でしたが、日本には、まだまだわけのわからない生き物が存在するのだなぁと畏怖の念を抱きました。

 今回の題である「ツチノコ」も、単なる見間違いである場合が多いようです。「ヒガシアオジタトカゲ」というすごく紛らわしい奴もいますし。

 日本のUMAの代表的存在であるツチノコは、70年代にブームとなりました。漫画家の矢口高雄先生が1973年に発表した漫画『幻の怪蛇バチヘビ』がツチノコブームのきっかけを作ったといわれています。

 果たして、「バチヘビ」(ツチノコ)を詠んだ短歌は存在するのでしょうか? いろいろ探しましたが、この歌しか見つかりませんでした。


 闇鍋にバチヘビ混ぜし三郎に太き斑の浮かぶ夜更けぞ 笹公人
 

 ……て、俺の歌じゃん!

 70年代の短歌雑誌を探せば、おそらくたくさん見つかりそうですが、時間がないのでやめておきます。
しかし、「蛇」を詠んだ名歌・秀歌ならたくさん存在します。


蛇遣ふ若き女は小屋いでて河原におつる赤き日を見る   佐佐木信綱


百合咲きて蛇いでゆけりゆつくりと苦しげに朝の道わたりゆく   馬場あき子


暑がりの青大将が落ち来ると能登の銀杏はふり仰がれぬ   川野里子


 蛇は『旧約聖書』で最も狡猾な生き物とされていることもあり、欧米では忌み嫌われる存在ですが、日本では、神の使いとして信仰の対象になることも多いです。

 掲出歌は、それぞれ蛇の神秘性をとらえていますが、作者が蛇に対してどこか親しみを感じているところがポイントでしょう。存在しているだけで神話的、文学的な香りを漂わせる蛇ですが、ツチノコの場合はどうでしょうか?

 2メートルほどのジャンプ力を持つとか、日本酒が好きだとか、本当だとしたらおもしろすぎるプロフィールを持つツチノコですが、いったいどんなイメージを持たれているのでしょう。

ということで、入選作品を発表です!!


〈前回の課題【ツチノコ】〉

●特選

それならば捕ってきなさいツチノコを あの娘(こ)は告げた失恋の夜 (ふじたま)

<笹先生の選評>
「かぐや姫」へのオマージュです。かぐや姫が貴公子たちに出した無理難題に比べると、簡単そうに見えるのはなぜでしょう。このように「もしかしたら俺にも獲れるかも?」と思わせるところがツチノコの最大の魅力なのかもしれません。しかし、最初で最後のリクエストがツチノコとは……。不思議ちゃんにもほどがありますね。


●秀逸(今回は特別に2首)

幼き日ツチノコを見た草むらを訪ねてみれば不発弾あり (みうらしんじ)

<笹先生の選評>
幼き日に草むらで目撃した茶色い謎の物体は、ツチノコではなく、錆びた不発弾だったというオチです。実際にありそうな怖さがありますね。さりげなく戦争の闇が描かれているところもよかったです。


ケータイを丸呑みしたるしまへびのゆくえは知らず 秋の深みに (むぎたうろす)

<笹先生の選評>
ケータイを丸呑みした「しまへび」は、ツチノコのように見えるという歌です。最近目撃されたツチノコは、たぶんそれです。


●佳作 

ネエチャンが未確認動物(UMA)と笑いたり吾のツチノコは青筋たてり  (中山一朗)

<笹先生の選評>
シモネタンカきました。男のモノを蛇に喩える歌は、古来、たくさん存在しますが、ツチノコに喩えた歌を見たのは初めてです。そして、なぜか寺山さんのこの歌を思い出しました。

泳ぐ蛇もっとも好む母といてふいに羞ずかしわれのバリトン  寺山修司


ツチノコの尻尾を持って振り回す程よく伸びて普通のヘビに (CANJOSAN)

<笹先生の選評>
結句は「シマヘビになる」とかにすれば、さらによくなります。


〈今回の課題【巨石】〉

present.jpg


特選受賞者には「笹公人先生の直筆短歌色紙」をお送りいたします!

 次の題は「巨石」です!! 磐座、モアイ、ストーンヘンジ、etc……巨石を詠んだ短歌ならなんでもOKです!


■笹公人先生の巨石短歌:作品例

真夜中のストーンヘンジに寝かされた大統領がひかりはじめる

彫り深きモアイの視線の先にある謎の惑星が俺のふるさと

sasako.jpg

笹 公人(ささ・きみひと) プロフィール
1975年東京生まれ。歌人。「未来」選者。現代歌人協会理事。大正大学客員准教授。文化学院講師。NHK学園講師。歌集に『念力家族』『念力図鑑』『抒情の奇妙な冒険』。他に『念力姫』『笹公人の念力短歌トレーニング』、絵本『ヘンなあさ』(本秀康・絵)、和田誠氏と共著 『連句遊戯』、朱川湊人氏との共著 『遊星ハグルマ装置』、編著に『王仁三郎歌集』(出口王仁三郎・著)などがある。「サイゾー」にて、「念力事報」(写真・江森康之)を連載中!
・公式HPはコチラ→http://www.uchu-young.net/sasa/index.html


【オカルタンカ 募集!】

 以下のリンクより、応募フォームに必要事項(ペンネームと短歌、賞品を狙う方はメールアドレス)をご記入の上、ご送信下さい。たくさんのご応募お待ちしております!

※応募〆切:11月14日

present.jpg

(上のボタンと同じものです)


【イベントのお知らせ】

~ マジックスパイスプレゼンツ~
「公人&キックの念力ナイト2」
日時:11月12日(水)18時30分開場 19時開演
場所:下北沢マジックスパイス
出演:笹公人(歌人)、キック(芸人)、小島なお(歌人)、他 
特別出演:下村泰山(マジックスパイスオーナー)
ミニライブ:blue marble 
チケット:3千円(スープカレー&1ドリンク付き)
前売り予約:shimomura-h@sepia.plala.or.jp (マジックスパイス下北沢店)

・オカルタンカのまとめ読みはコチラ

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