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 11月15日からシネマヴェーラ渋谷にて「金日成のパレード」と、同時上映の「北朝鮮・素顔の人々」が2週間限定で上映される。北朝鮮が世界に“誇示”する栄光と、ひた隠しにする暗部をとらえた映像ドキュメンタリーである。


■国民たちが自我を失っていくプロセス

 ポーランドのドキュメンタリー映画界の巨匠、アンジェイ・フィディックが手がけた「金日成のパレード」は北朝鮮の体制が「世界に見せたいもの」を一切の主観をまじえずひたすら列挙していく。絢爛豪華な平壌の地下鉄、病院、映画撮影施設、大規模軍事パレードやマスゲーム、金日成主席と金正日総書記に万雷の拍手を送る民衆……、登場する人物は口々に体制の素晴らしさと、いかにその恩恵を受けているかをアピールする。

 それはまるでサブリミナル映像のようだが、かといって当局に差し出されるままの材料をそのまま映し出すプロバガンダでないことは明白だ。この映画における徹底した客観主義は、人が国家という強大な幻想の前に、いかにして自我を失っていくかを逆説的に示している。また映像が20数年前のものであることは考慮されるべきだが、父子三代にわたる独裁体制の揺るぎなさを再確認できるものでもある。


■命懸けの撮影が捉えた悲劇と強さ

 一方、『北朝鮮・素顔の人々』はショーケースの裏にある、中朝国境地帯の殺伐とした暮らしぶりを北朝鮮の住民自身が隠しカメラによって撮影した30分ほどの記録映像。当局に不利な映像を撮影した者は処刑されるため、身元は完全に伏せられている。まさに命がけの撮影であり、きわめてレアな映像である。

 映像は時折、脱北者による解説を交えながら深部まで迫っていく。

 建物一つない荒野にできた真っ黒な人だかりは、住民が生活のために物を売買する露店だ。「チャンマダン(市場)」と呼ばれ、地方都市を支える「裏経済」である。人々が糧を得るため必死の形相で駆け回り、「コッチェビ」と呼ばれる浮浪児たちが残飯を漁る様子は、どこか平壌の人間より生き生きとし鬼気迫るものがある。

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