ぐうたら息子と鬼の家 ― “日本初”保険金殺人「日大生殺し事件」の不快な余韻
――日本で実際に起きたショッキングな事件、オカルト事件、B級事件、未解決事件など、前代未聞の【怪事件】を隔週で紹介する…!
【今回の事件 日大生殺し事件】
「強盗に入られて、兄さんが殺されました。すぐに来てください!」
昭和10年11月3日午前2時半頃、寝間着姿で裸足の男女が、東京市の本富士警察署壱岐坂派出所に駆け込み、警察官に叫んだ。
警察官は、本郷弓町の徳田家に向かった。家に入ると、血だまりに徳田貢(当時、24)が倒れている。刺し傷17カ所、切り傷5カ所、体中にある傷は、足裏にまで及んでいる。
貢の母親の徳田ハマ(当時、46)が、状況を説明した。
「午前2時頃、押し入ってきた20歳くらいの男が、私を起こして、金を出せと出刃包丁を突きつけてきたんです。怖くて60円を差し出したんですが、2階に寝ていた貢が騒ぎに気づいて降りてきて、男を捕まえようとしたんです。包丁を振りかざす男に、柔道2段の貢が組み付いたんです。男は貢をメッタ刺しして、60円を奪って逃げたんです」
当時は、大学卒の初任給が、70円という時代であった。
家に住んでいたのは、ハマと長男の貢の他、長女の栄子(当時、21)、次女の秀子(当時、17)、次男の充(当時、11)の5人であった。派出所に駆け込んだのは、次女と次男である。父の寛(当時、51)は、樺太の敷香で医院を開業していた。
強盗殺人事件として、本富士署は緊急警戒網を張った。タクシー業者や旅館に聞き込みをかけ、ラジオを通じて目撃者を探した。それでも、何ら手がかりはつかめなかった。
父の寛が樺太から帰ってきて、11月9日、貢の葬儀が執り行われた。
「これも運命ですから……」
関連記事
最新記事
- 人気連載
奇習! 混浴公衆浴場における“裸のつきあい”の実態がヤバすぎる「隣の奥さんのホクロの数も知ってる」「その場でしちゃうことも」
【日本奇習紀行シリーズ】 東海地方 画像は「Thinkst...
奇習! 箱詰めにされた全裸の少女たちは“実験動物”だった ― 大阪の勤労少年が見た敗戦国の哀しい現実とは?
【日本奇習紀行シリーズ】 大阪 画像は「pixabay」よ...
関連リンク
コメントする