「エボラテロで世界がパニックに…」外交官が語る2015年の中東情勢“悪夢のシナリオ”とは?

■方法はいくらでもある

 一般に危惧されているのは、エボラ・ウィルスに感染したテロリストを標的国に入国させるという手段だが、この外交官によると、さらに恐ろしい方法があるという。

「現在先進諸国では、イスラム国関係者の入国にはかなり神経を尖らせているはずですし、このやり方だと相手国の数だけテロ要員を必要とします。それに先進国では、早期に治療を始めるとエボラの致死率もそれほどではありません。その意味では、あまり効率の良いテロ行為ではありません。

 その一方で、カイロやイスタンブール、ドバイなど、域内の大規模空港でトランジットを装って長時間滞在し、不特定多数の旅行客と接触すれば、ウィルスは自動的に世界各地へと拡散します。単にトランジットのための滞在ということで入国しないなら、チェック自体それほど念入りでもありません。しかも空港には、レストランやシャワーなど、数日滞在するための施設も整っているのです」

 しかし、エボラ・ウィルスは空気感染しないはずだ。突然変異で空気感染するように進化する可能性については指摘されているが、そうした報告はまだない。それでも外交官は、油断は禁物だと続ける。

「その気になれば、感染させる方法はいくらでもあるのです。たとえば、自分の掌に傷をつけて、出会う人と次々に握手するという方法もあるでしょう。もちろん、見知らぬ人間にいきなり握手を求められても拒否する人がほとんどでしょうが、郵便局はどこかとか、トイレはどこかと訊かれて、教えてやった相手が礼を言いながら手を出せば、拒否する人は少ないですよね。その後すぐに、自分の手を消毒する人がそれほどいるとも思えません。

 他にも、エスカレーターの手すりやエレベーターのボタン、個室トイレのドアノブなどに汚染された体液を塗っておくという方法もありますし、体液を付けた小銭を大量に空港内で使うというやり方もあります。小銭であれば、すぐに不特定多数の人間の手に渡りますし、軽食堂などでは、手づかみで食べるメニューもたくさんありますよ。世界の旅行者には、使い切れなかった小銭を母国にお土産として持ち帰る人もいます。こうしたやり方でどれだけの確率で感染するかは未知数ですが、アフリカと強い結びつきのない場所で少人数でも感染者が出れば、それだけで世界はパニックになります」

 たしかに、たとえ追跡調査でドバイ国際空港が感染源と判明した場合でも、一日10万人以上の乗降客があるこの空港の利用者だけでなく、帰国後に接触した相手まで特定するのは途方もない作業となる。しかも外交官によると、イスラム国にとってこのようなテロは、世界を脅かす以上のメリットも期待できるという。

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