深海に漂うゴーストフィッシュ!? “深度世界一”の新種魚類が神秘的すぎる!

 翼のようなヒレの生えた、過去に類がない形状の魚が最近発見されたとして、昨年12月に「New Scientist」などが報じ、話題になっている。


■超深海でたくましく育つ驚異の魚類

【動画】深海に漂うゴーストフィッシュ!? 深度世界一の新種魚類が神秘的すぎる!の画像1水深8,143mの深海を泳ぐ新種の魚類 画像は「YouTube」より

 西部太平洋マリアナ海溝で、“地球で一番深い”と言われている地域にあり、新種のカサゴ目クサウオ科の魚(Snail Fish)がなんと水深8,143メートルに達する海底に腹這いになって浮遊している姿が撮影された。

 今回の新種の魚は、ハワイ大学のジェフ・ドレーゼン氏およびパティー・フライヤー氏ら深海魚の研究チームによる探検隊によって発見されたのだが、何百種とあるクサウオ科とも異なる形をしており、海底を這うのに適した幅広い半透明のヒレと細いひも状の付属肢、そして滑らかに動く役目を担うウナギの様な尾を持つのだという。

 クサウオ科の魚は浅瀬でも生息可能だが、深さ数千メートルという超深海でこそ、たくましく育つという特性を持つことで知られる。オタマジャクシに似た外見のシンカイクサウオ(Pseudoliparis ambystomopsis)は、2008年に深度7,703メートルで発見された記録を持つが、深海における高水圧の中で生物が生き延びるのは至難の技だ。というのも、高圧が筋肉と神経、体内のたんぱく質を押し潰して生命を維持するのに必要な酵素の働きを破壊してしまうからである(圧縮空気を使ったスキューバダイビングでも、人間が水圧による窒素中毒を避け安全に潜水できるのは30メートル程度までで。ちなみに、世界最高記録は332.35メートル)。

 

■続々と明らかになる謎の超深海生物

 今回の探検隊に参加したひとり、生物学の専門家である米ワシントンのウィットマン大学のポール・ヤンシー教授は1999年、トリメチルアミンオキシド(別名TMAO)と呼ばれる有機化合物を発見した人物だ。この化合物は海水魚、サメ、エイなどが有するオスモライト(浸透圧調整物質)である。これは深海魚の細胞内の塩分濃度を海水の約3%から1%に低下させ、体の外側と内側の圧力を釣り合うように調整する役目を持っているのである。

 TMAOをより有するほど、より深い場所を住処に出来ることがわかっているが、TMAOの保有量には限りがあり、深海魚の行動範囲はあまり広いものではないという。

 また、約1年前の2013年初頭に、英アバディーン大学のアラン・ジェミソン博士はTMAOの含有量に基づき、魚がどのくらいの深度まで生存できるかを計算し、生息限界はおよそ8,200メートルと発表していた。

 この数値は今回の探検で得られたデータ(深度8,143メートル)とほぼマッチしており、正確性が裏付けられたものとなっており、「おそらくこれを超える深さに魚は生息していないと予測している」と前述のヤンシー教授は語っている。

 他の生物が生き永らえない極度に高い水圧と低水温、低酵素濃度に阻まれた、光の全く届かない暗黒の海底でうごめく奇妙な形状の魚たち……。ダイオウイカをはじめとする深海生物が最近続々と我々の前に姿を見せているが、これは吉兆なのか、それとも何かが起こる前触れなのであろうか……?
(文=Maria Rosa.S)


参考:「New Scientist」ほか

関連キーワード:, , , ,

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

人気連載

danger
イタコ、霊媒、エロ祈祷…エログロナンセンスな超常現象ドキュメンタリー『恐怖・怪奇・悪霊 超常現象の世界』とは?

イタコ、霊媒、エロ祈祷…エログロナンセンスな超常現象ドキュメンタリー『恐怖・怪奇・悪霊 超常現象の世界』とは?

※こちらは2020年の記事の再掲です。 ――絶滅映像作品の収集に命を懸ける男・...

2024.02.27 08:00奇妙
青酸カリで人を殺すのは意外と難しい。推理小説のトリックは概ね間違いだった!?

青酸カリで人を殺すのは意外と難しい。推理小説のトリックは概ね間違いだった!?

【ヘルドクター・クラレの毒薬の手帳 第1回、青酸カリ/後編】  ※本記事は2...

2024.02.07 08:00科学
【毒薬の手帳】ググっても出てこない、青酸カリの本当の話

【毒薬の手帳】ググっても出てこない、青酸カリの本当の話

本記事は2015年に掲載された記事の再掲です。 【ヘルドクター・クラレの毒薬の...

2024.02.06 08:00科学
九州地方で正月に行われていた飲尿儀式の伝統があった!?

九州地方で正月に行われていた飲尿儀式の伝統があった!?

※本記事は2018年の記事の再掲です。 【日本奇習紀行シリーズ】 九州地方 ...

2023.12.30 08:00奇妙
龍のパワーを秘めた文字、「左回り」のエネルギーを得られる輪…今最強の波動グッズ3選

龍のパワーを秘めた文字、「左回り」のエネルギーを得られる輪…今最強の波動グッズ3選

不思議ジャーナリスト・広瀬学が渋谷クロスFMのラジオ番組のレギュラー出演者にな...

2024.03.19 16:30スピリチュアル

深海に漂うゴーストフィッシュ!? “深度世界一”の新種魚類が神秘的すぎる!のページです。などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

トカナ TOCANA公式チャンネル