公明党はなぜ創価党ではないの? 政党名に隠された謎と真実!

■日本共産党/共有という概念は江戸時代後期のもの?

 さて、共産党です。共産党は戦前、非合法でしたが、戦後合法化された政党です。「共産主義:Communism」の語源は「共有」や「共有財産」を意味するラテン語のコムーネ(communis)からきています。

 日本はこの「コムーネ(communis)」を「共」と訳すことが通常のようで、何も共産主義だけではなく「コミュニティ(英語:community)」も「共同体」と訳されています。「公共」などの「共」であり、「ともに」という意味がある単語になっています。

 しかし、これも江戸時代後期の訳文で、それまでは「共有」は当然のことですし、また「共有地」などではなく、例えば誰でもが入ってよい場所を「入会」という単語を使っていましたので、「共有」という単語が意味する「内容」が必要なかったのです。

 さて、その共産主義は、本来は「均一分配」「平等」を目指す体制のことで、その理念、共有化の範囲や形態、あるいは共産主義社会実現のための方法論などには古くから多数の議論があり、このため「共産主義」の定義は多数存在しています。

 中国は中華人民共和国という名の通り、共産主義の国家として知られていますが、この国の大躍進政策を見てもわかる通りに、その生産の過程からすべてを管理するということが一つの問題になっています。そのために「生産手段の私的所有を廃止して、公的所有を確立し、人間による人間の搾取をなくそうとする思想」ということも一つの理想となっており、生産物をすべて共有化し、作った人も、苦労した人も、功績のある人も、全て平等に分配するというのが彼らの理想となっているのです。

「日本共産党」は「日本において、共産主義を実現する政党」のはずですが、今では「確かな野党」といって、自分たちが与党になって政治を行うという意識がなく、単純に「反対のための反対政党」になっているのが現状です。彼らの中には、今でも「共産主義の理想」はあるのでしょうか。


■公明党 なぜ創価党ではない?

 公明党は1961年、創価学会を母体にした「公明政治連盟」ができ、翌62年には、9人の国会議員を輩出する勢力になりました。55年体制で保守・革新がしのぎを削っているところに、保守・革新という二分論ではない内容で議員を輩出する政党ができ「中道路線」といわれるようになったのです。

 さて、なぜ「創価」なのに「公明」なのでしょうか。

 実は戦後、違反や買収がない“公明正大な”選挙を行うための「公明選挙運動」が行われました。公明党は、その選挙の名称をもらったとは言いませんが、同じような意味合いで「公明正大な政党である」ということを主張したのではないでしょうか。また、「公明正大で政治的にクリーン」なイメージを最も大きく謳いたい政党だったのかもしれません。

 ですから、「公明党」の前身の「公明政治連盟」は、「公明選挙において創価学会の理念を政治に生かす連盟」という意味の連盟であります。もちろん「公明正大な政党である」というような理念も存在すると考えられます。

 ちなみに、公明党ができたことによって、選挙は「公明選挙」から「明正選挙」という名前に変わりました。そして現在は「明るい選挙推進運動」というように名前を変えているのです。


■民主=奴隷を意味する言葉?

 さて、最後に自由民主党、社会民主党、ともに入っている民主という単語に注目してみましょう。

「民主主義」は「デモクラシー:democracy」と訳されます。これは、古代ギリシアの、「デモクラティア」からきており、「人民・民衆」の意味を持つ「デモス」と、「権力・支配」の意味の「クラティア」を組み合わせたもので「民衆支配」、「人民権力」、「国民主権」などを意味するとされています。

 さて、日本において「デモクラシー:democracy」を「民主主義」と訳したのはなぜなのでしょうか。

 そもそも「民」という漢字を単独で使うということはあまりありません。「民」という漢字の語源は、古代中国までさかのぼり、眼(瞳の無い眼)を針で突き刺すさまを描いたものといわれています。眼を針で突き、つまり視力を喪失させることで自由を奪い取られた人、すなわち「奴隷」を表していたんです。これが後に、目の見えない人のように物事のわからない多くの人々、支配下に置かれる人々の意味に変わりました。

 しかし逆に、「民」ということは「目の見えない人」ということですので、「民」という単語ひとつを使って物事を示すことはほとんどありません。逆にそのような大雑把なとらえ方をしていては民を治めることはできなかったということになります。

 そのために「民」という単語は、例えば封建領主との対等では「臣民」、通常の人であれば「平民」そして、国家の人々であれば「国民」というように、必ず「民」の属性をつけて、物事を表現するようになったのです。

 そして「民」が「主」ということ自体が、矛盾している言葉ということになります。何しろ「盲目に例えられるように何もわかっていない人を主体とした政治」ということですから、元来、成立するはずがないということになります。
 
 しかし、今は様々な国で「デモクラシー」の訳文として「民主主義」という単語が使われます。しかし、これはあながち間違いではありません。「奴隷」ではなく「何も見えていない人」という本来の意味に直して考えれば「しっかりと指導しなければならない」ということがその根本の意味になり、それを誤ると「衆愚:デマゴーグ」になってしまうということになるのです。ですから「民主主義」はあくまでも「国民が権力を持った政治制度」であるということでしかなく、同時にしっかりと指導しないと「衆愚」になってしまうという政治を推進するということになるのです。

 このように、日本語から見る政党名は、その政党名と政治の考え方だ出てきます。立党当初の理念と、現在の政治体制が異なるということは、時代の変化によって政治の要請が変わるということになるのではないでしょうか。
(ジャーナリスト・作家 宇田川敬介)

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