>  >  > 己を疑え、マイノリティは状況で逆転する

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画像は、マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画

 先日TOCANAでも紹介した『マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画』(以下「マイノリティとセックス」)。2月14日に東京・渋谷のアップリンクで公開が始まって以来好評のため、上映期間が3月6日まで延長されることに決定した。観た人の評判が賞賛と不満の声に分かれているというこの作品について、佐々木誠監督ご自身にお話を伺った。


■リリー・フランキーが激怒した!? 賛否が分かれる映画

――「マイノリティとセックス」、拝見しました。

佐々木誠監督(以下、佐々木) ありがとうございます。どうでした?

――正直、ダマれました(笑)。もちろん、いい意味で、です。拝見する前に「マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画」っていうタイトルと、公にリリースされているもの以外、事前に情報を頭に入れてなかったんです。それで、実際に観たら想像していたものと違っていて(笑)。あまり申し上げたくないのですが、自分の中のにある“嫌な思い込み”を目の当たりにさせられました。

佐々木 僕の映画は観た人をモヤモヤさせるみたいです。

――ダマされたと言っても、監督は何もウソはついていない。『マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画』というタイトルどおりの映画です。でも、このタイトルに並んでいる文字やフライヤーの雰囲気からイメージしやすい内容を期待して行くと、いい意味で裏切られるか、文字通り裏切られたと思って幻滅する人に分かれるように思いました。

佐々木 おっしゃるとおりで、観てくださった方の評価は真っ二つに分かれています。面白く思ってくださる方と「なんだよコレ?」って不満を感じて劇場を出ていかれる方。先行上映会の時にはゲストにお呼びしたリリー・フランキーさんを怒らせてしまって。会場の空気がすごくピリついてました。


■目の前で起きていることが、必ずしも本当のこととは限らない

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佐々木監督

――「マイノリティとセックス」の構成は、鉄割アルバトロスケットの中島兄弟が主な登場人物であるチャプター1、2007年に発表された短編作品、「マイノリティとセックスに関する2、3の事例」がチャプター2。そして、3.11の前後に撮影したチャプター3の、3つのチャプターに分かれています。チャプター1では、統合失調症を患う中島兄弟の弟ノリツグさんが。チャプター2ではアルトログリポージス(先天性多発性関節拘縮症)の門間さん。チャプター3では脳性まひの熊篠さんが登場します。一見、障害者の方がマイノリティに思えるのですが、観ているうちに、障害者の方をマイノリティと言うことが正しいのか、わからなくなります。

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映画のワンシーン 左:門間さん

佐々木 「マイノリティとセックス」のもとになった、「マイノリティとセックスに関する2、3の事例」のタイトルをあえて「2、3の事例」としているのには意味があるんです。「登場するマイノリティのセックスの事例が、2つなのか3つなのかを判断するのは、観ているあなたです」という。何をもって、あなたはマイノリティとそうでないものを決めるのか? っていう僕からの問いかけがあるんですよ。

―― 社会的には「障害者」「健常者」という区分けがあって、障害者はマイノリティだと認識されています。でも、「マイノリティとセックス」を観ると、一概にそうは思えなくなってきます。門間さんや熊篠さんは障害者。つまり、社会的にはマイノリティだと認識されています。でも、セックスや恋愛の部分を当てればマイノリティとは言えない。いわゆる健常者であっても、女性に縁のない人はマイノリティとも取れます。

佐々木 そうなんですよ。

―― マイノリティとされる人達のセックスについて、撮影をしていてなにか特別な感情を抱きましたか? たとえば、チャプター1の主人公である鉄割アルバトロスケットの中島さんはセックスそのものに執着がない。その一方で、性犯罪の被疑者として描かれていましたね。

佐々木 まあ、あれは虚構なんですけれどね。

―― 虚構なんですか!? あのシーンを観て、中島さんが起こした事件について調べようと思ったくらいですよ。

佐々木 完全な設定です。作品の中では、事件について具体的には何も触れていないんです。そのうえ、それが性犯罪だと一言も言っていません。

―― 全部が虚構だと。

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