夢の“電磁バリア”が開発される! ボーイング社が特許取得
■“諸刃の剣”でもある新軍事技術
軍用車両の防御システムといえば、イスラエルで開発されたトロフィー(Trophy)が有名だ。
10年もの歳月をかけて開発されたといわれるこのトロフィーは、車両に接近してくるロケットなどを自動で感知し、車体への着弾前に散弾銃に似た弾幕射撃で迎撃するシステムだ。イスラエル国防軍の戦車に実際に装備され、2011年には初めて実戦において対戦車ロケット弾の迎撃に成功して一躍注目を集めた。一時は米軍も採用に向けて動いていたということだ。
兵員の命を守る“救世主”として多額の予算と年月を費やして開発されたこのトロフィーだったが、実はなんとも皮肉なかたちで敬遠される装備になってしまった。それは、周囲に兵員や車両がいる状況で、このシステムが起動してしまうと味方への被害がかなりのものに及ぶという懸念が浮上したためだ。開発側は味方に損害を与える可能性は1%以下であると主張しているが……。
加えて、どうやらトロフィーを無効にする対戦車ロケットが開発可能であることが見えはじめ、この“夢の”防御システムは徐々に軍関係者の口にのぼることが少なくなっていったということだ。防御装備でありながらまさに諸刃の剣であったのだ。
ひるがえって今回の“電磁バリア”もまた、付近の味方の人員や車両に少なからぬ影響を与えることが考えられる。実弾ではないのでトロフィーほどの危険性はないにしても、安全性をじゅうぶん確かめた上での開発が求められることはいうまでもない。ともあれ、ボーイング社が開発を進める反衝撃波システムが実際にどんなものになるのか注目である。
(文=仲田しんじ)
参考:「Popular Science」ほか
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