>  > パンク漫画『絶望の犯島』作者インタビュー

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絶望の犯島

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阿左美UMA

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画像は「絶望の犯島―100人のブリーフ男vs1人の改造ギャル4 (アクションコミックス)」(双葉社)

 『絶望の犯島』(双葉社)という漫画をご存じだろうか。自らが所属する巨大闇組織の会長の妻と娘を寝取った罰として男から女に性転換させられた主人公のコーゾーが、性犯罪者100人がひしめく無人島に監禁され、自らの貞操を守るために闘う――。軽く設定を紹介しただけでも、既にそのファンキーさが伝わりそうなこの作品は、「漫画アクション」(双葉社)にて連載され、コアな人気を得ている。作者である櫻井稔文氏は、近年、各種実話誌などで潜入ルポ漫画を主にこなし、タブーなき劇画漫画家として名をはせた人物。

 筆者も、以前編集スタッフとしてかかわった実話漫画誌「漫画実話ナックルズ」(ミリオン出版)にて、多くの取材で櫻井氏とご一緒させていただいたが、氏の漫画を面白くしようとする情熱や、独特のセンスがあふれる作風に心酔し、大ファンになった。

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フランス語翻訳された「絶望の犯島」 画像は「Ladyboy vs Yakuzas - tome 1 L'île du désespoir」より

 そんな氏の描く『絶望の犯島』が、なんとフランスで翻訳出版され、話題になっているという。『Ladyboy vs Yakuzas』と仏題がつけられた本作は、発売初日の2月26日には、フランスのAmazonの変態漫画部門で1位、漫画部門全体で21位となり、在庫が品切れになるほどの人気を誇っているというのだ。もともと、フランスでは『ドラゴンボール』や『ONE PIECE』といった数多くの漫画が翻訳されていることから、「日本の漫画を愛する国」として知られているが、果たして、この怪作のどの部分がフランス人の心の琴線に触れたのだろうか? それを確かめるため、取材班(といっても筆者と編集の小泉氏の2人だが)は日本に住むフランス人にこの漫画を読んでもらい、感想を聞くことにしたのである。

■日仏学院にいるフランス人に『絶望の犯島』翻訳本の感想を聞いてみる

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ライターの阿左美UMA氏

 まず最初に向かったのは、飯田橋にあるアンスティチュ・フランセ東京。ここはフランス政府公認のフランス語学校で、フランス人の講師も多く集まっていることから、話を聞くのに最適ではないかと考えたのだ。

 ところが、実際に訪れてみると、確かにフランス人は多数いたものの、授業などで忙しいらしく、ほとんどの人が声をかけても「時間がない」「このあと授業がある」などとインタビューを断られてしまった。やっとつかまえた20代のイケメンは「子どもの頃は『ドラゴンボール』なんかを読んでいたけど、もう漫画は読まないよ」と答え、単行本を開いてもくれずに撃沈。仕方なく、敷地内にあるフレンチレストラン「ラ・ブラスリー」で取材を行おうとしたものの、店は完全予約制らしく、まさかの入店拒否。

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フランス人にまったく相手にされず、うなだれる阿左美氏

 ヤケクソで店の近くにいた2~3歳ぐらいの女の子を連れたフランス人に突撃し、半ば強引に話を聞くと、内容が内容だけに向こうも終始苦笑い。「ちょっとこの本はここでは読めないね」と、やっぱり断られてしまった。まあ常識で考えて、子ども連れのパパがこんな漫画読んでたらダメだよね……。

 結局、これを最後にここでの取材は無理だと判断し、撤退することにした。確かに、筆者がかなり不審者に見えるルックスをしているとはいえ、尋常ではないアウェー感に驚きを隠せない。フランス人って本当に漫画が好きなんだろうか? という疑問を抱いたまま、次の取材先へ向かうことになった。

■英会話喫茶で汚名返上となるか!?

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画像は「英会話カフェ Mickey House」より

 続いて訪れたのは、高田馬場にある英会話喫茶「ミッキーハウス」。30年の歴史を誇るこのお店は、現在、英語以外にもフランス語やイタリア語など、10ヵ国語以上に対応した、まさにインターナショナルなカフェとなっている。フランス人が多く集まるという水曜日に押しかけて、話を聞いてみた。こちらは喫茶店という落ち着いた環境であることと、人と話をしに集まっている目的もあってか、3人ほどインタビューに応じてくれた。

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気さくに取材に応じてくれたジョンさん。クリス・ペプラーばりにいい声でした

 1人目はジョンさん。もともと日本の漫画やアニメ、音楽などをフランスに輸入する仕事をしていたという彼は、なんとこの作品のフランス語版を出した出版社Akataの社長と知り合いだという。すごい偶然もあったものだが、そんな彼は日本の漫画にも造詣が深く、「25~35歳ぐらいの人には人気が出そうだね。それより下の世代は『ONE PIECE』とか読んじゃうだろうけど(笑)。絵柄も特徴的で、とてもいい。もし映画化するなら、やっぱりアニメの方がいいんじゃないかな。実写だと再現できない部分もあるし、雰囲気が変わってしまうだろうしね」との分析的なコメント。ちなみに、音楽の仕事をしている時に知り合った日本のバンド、DIR EN GREYとは友達だそうです。

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20代のステファニーさん。ストールの巻き方がお洒落ですね

 2人目はステファニーさん。ワーキングホリデーで日本に来たというこの男性は、この作品を読むなり「クレージーなストーリーだ。スタンダードな漫画とは全然違うね。ほかには見ないスタイルだ」と驚きながらも絶賛。「絵柄が『ONE PIECE』っぽい気がする」という、どこが? と思うような謎のコメントも飛び出したが、それぐらい面白かったという肯定的な意見として捉えておくことにする。しかし、取材したフランス人は、なぜか皆『ONE PIECE』の名前を出してくるが、やはりフランスで日本の漫画の代表格といえば『ONE PIECE』なのだろうか?

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現役モデルのジュリエットさんと記念の2ショット

 最後はジュリエットさん。モデルを職業にしているという彼女は、単行本を手に取り、表紙を見た時点で大爆笑。パラパラとめくった後「ヘンタイ! でもなんとなく楽しそう!」というコメントをしたが、結局、読んではくれず。でも、なぜかインタビュー終了後に「その本、欲しいんだけど」とおねだりをするというツンデレぶりを発揮してくれた。でも可愛いからなんでもOKです。つーかマジで結婚したい。養ってほしい。

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ものの5分で描いてくれたのに、このクオリティー!

 最後に、昔、漫画を描いていたというジョンさんが、なんと単行本の表紙のコーゾーを描いてくれた。見ての通り、かなりの腕前でビックリ。これは実際に作者の櫻井氏に見てもらおうということで、この色紙を渡しに行くという運びになった。

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「絶望の犯島」の著者 櫻井稔文氏

 色紙を手渡すと櫻井氏は、「これ、誰が描いたの!? うまいやん!」と大喜び。漫画を読んでもらったフランス人の感想を伝えると、自分の漫画がフランスでもウケているという確かな実感を得ていたようだ。そんな、日本でもフランスでも注目されている、『絶望の犯島』はどうやって生まれ、そして今後の展開はどうなるのか。その部分について、押しかけついでにインタビューを試みた。

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