>  > 芸能界の能年玲奈も、角界の貴乃花も、洗脳じゃない!?

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※イメージ画像:『ヤングジャンプ 2015年5月21日号』/集英社

 NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』のヒロインを演じたことでスターダムへと駆け上がった女優の能年玲奈が「洗脳騒動」とやらに巻き込まれている。報道によると、『自身を代表とする個人事務所を設立していた』『所属事務所に内緒なのは業界のルール違反だ』『背後にいるのは「生ゴミ先生」こと演技指導者の滝沢充子氏ではないか』『新会社には彼女も重役に名を連ねている、どうやら能年は彼女に洗脳されたらしい』……というものだ。

 この種の「洗脳騒動」は、芸能界で度々繰り返されてきた。たとえば、古くは統一教会の合同結婚式に参加した女優の桜田淳子、ホームオブハートなる自己啓発セミナーの主催会社に取り込まれたX JAPANのToshI、近年では女性占い師に依存した元オセロの中島知子……などなど。また、スポーツ界でも、統一教会に入信した末、脱会騒動を起こした元新体操選手の山崎浩子や、師匠や兄との不仲も厭わずに整体師の指導を仰いだ貴乃花の例などがある。

 これらはメディアによって一律に「洗脳」の烙印を押された。だが、それは本当に「洗脳」の定義で正しいのだろうか。また、ケース・バイ・ケースを無視しているのではないかと、どうにも疑問が残る。

 そもそも精神医学では、洗脳(Brain washing)とは、強制性や暴力、違法性を伴う行為のことを指すようだ。たとえば、監禁、脅迫、暴行、拷問、飢餓化、薬物投与などの手段を用い、対象者の精神や思想を無理やり改造する行為のことである。これはどう考えても犯罪なので、仮に著名人が“洗脳された”とすれば、本来なら大事件である。

 これに対して、マインドコントロール(Mind control)とは「強制によらず、さも自分の意思で選択したかのように、あらかじめ決められた結論へと誘導する技術、またその行為のこと」を指すとされている。一般的にこのような手法で、対象者に虚偽を信じ込ませたり、己の利益となる方向へ誘導したりする行為のことを「騙す」「欺く」という。仮に強制性や暴力がなかったとしても、こうして相手の心理を読み、言葉巧みに操って錯誤に陥らせ、「財物ないし財産上の利益」を処分させた場合は刑法の「詐欺罪」に問われる。だが、あくまで物的金銭的利益が伴わない場合は、違法にはならない。

 そういう意味で、マインドコントロールは犯罪スレスレの行為ともいえる。そもそも対象者の心理を操ろうと画策する側は、何らかの私的な目的を動機とする場合が多い。たとえば、労働の供与や性的搾取、著名人の場合はその名声の利用などである。しかも、結局は高額な商品・サービスの購入や多額の寄付へと行き着く場合が少なくない。

 このように「洗脳」と「マインドコントロール」は異質なものだが、日本では混同されている(※注)。しかも、日常会話の中では、妄信やマインドコントロールどころか、何かに感化されたという程度のことで、「あいつは○○に洗脳された」とも言う。つまり、あいつは馬鹿だ、正気ではない、アブノーマルだ、と言えば直接的過ぎるため、そのニュアンスを込めた非難・悪口として「洗脳」という用語が使われているのだ。

 それならば、家庭や学校で行われている教育や指導もマインドコントロールの一種ではないのか、という意見がある。広義にはそういう見方もできるかもしれない。しかし、両者には決定的な違いがある。それが行為者の動機や目的だ。つまり、対象者当人と社会全体の利益のためなのか、それとも行為者の私利私欲のためなのか、という違いである。もちろん、人格の向上や将来のためを謳いながら、実際には親や教師が子供にエゴを押し付けている例はあろう。ただ、それは教育を装っているにすぎない。

 また、世の中には、職業やアート、スポーツの分野などにおいて、強い師弟関係というものが存在している。弟子はたいてい師を尊敬し、憧れている。そういう場合、師が何かを話すと、弟子はその考え方に感化されてしまう。よって、師が公私において弟子に強い影響を及ぼすことは避けられない。だが、このような、やや過剰なケースであっても、あくまで師が目的を見失わない限りは、やはり教育や指導の範疇だと言わざるをえない。

コメント

1:編集部様へ2015年5月21日 17:33 | 返信

× 週末の日に選ばれる

○ 終末の日に選ばれる

かと。

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