• このエントリーをはてなブックマークに追加
  • コメント0
0714uchiage_main.jpg
※イメージ画像:『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』

 夏の名物行事といえば、花火大会だろう。夜空にまたたく光の美しさは何物にも代えがたい。かねてより花火は映画や文学など、さまざまな作品でモチーフとされてきた。

 花火にまつわる映画で思い出されるのが岩井俊二の『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか』である。1993年8月26日にフジテレビ系のテレビドラマシリーズ『ifもしも』で放送され、その年、テレビ作品としては初となる日本映画監督協会新人賞を受賞。岩井俊二がのちに『Love Letter』『スワロウテイル』など、映画監督としてのキャリアをスタートさせる契機となった作品である。

 同作が注目を集めたのは、いくつかの偶然も作用した。番組は9月2日にオンエア予定であり、その前週である8月26日は誘拐をテーマとする作品が放映されるはずだった。しかし、山梨県で誘拐殺人事件が発生したため、急遽差替えとなり、放送が1週間早まった。また、当日は、台風が関東地方に接近していため多くの人間が帰宅しており、高視聴率につながったともいわれる。好評を受け、作品は再編集がなされ、1994年夏に劇場公開もされた。

 物語は小学生の夏の1日が描かれている。その日は夏休みの登校日であり地元の花火大会が行われる。同級生の典道と祐介は、クラスの美少女・なずなに恋心を抱いている。告白する権利をかけて水泳対決をする2人。なずなは両親の離婚により、母親に引き取られ夏休み中に転校することになっている。そのため親から逃れようと、花火大会へのデートの誘いを口実に、駆け落ちを企てる。誘う相手が典道か祐介によって、異なる物語が展開する。構成が変則的なのは、テレビドラマ『ifもしも』が異なる2つの結論を用意するルールを定めていたためである。

 典道役を演じるのは『あっぱれさんま大先生』(フジテレビ系)への出演でも知られた山崎裕太、祐介役は当時子役として多くのドラマに出演していた反田孝幸、またなずな役を演じるのは奥菜恵。物語の設定は小学6年生である。この頃は、一時的に男子よりも女子の方が成長が早くなる。実際、奥菜はほかの出演者より実年齢が1~2学年年上であり、少し大人の少女を演じていた。

 ほのかな恋愛要素とともに、男の子の冒険話も描かれる。打ち上げ花火は、横から観ると平べったいのか丸いのかという疑問を解消するため、打ち上げ会場となる海岸線から真横に位置する灯台を一路目指すストーリーが絡む。さながら穴場スポットだ。

 放送時の1993年は日本初のプロサッカーリーグ・Jリーグが開幕した年である。作中の小学生たちもサッカーに夢中だ。その他、スーパーファミコンの『スーパーマリオワールド』『ストリートファイター2』、また漫画の『スラムダンク』、『セーラームーン』、など30代読者たちならばホットなキーワードが多く登場する。

 物語の舞台となった、千葉県飯岡町(現・旭市)は、東日本大震災で津波の被害を受けた。2011年夏には復興を願い、岩井俊二のサイトで作品の無料公開がなされたこともある。この町では夏の花火大会が毎年行われており、今年は7月25日土曜日に開催される。実際に現地を訪れる熱心なファンも存在するという。

 また、同日は日本三大花火大会のひとつといわれる隅田川花火大会も行われる。隅田川花火大会といえば一昨年は豪雨による初の途中中止、昨年は大量のゴミが問題視された。

 関係各所に今年の対策を聞いてみると、

「各町会と連携し、各所に仮設ゴミ箱の設置をお願いし、回収につとめています」(スカイツリー・墨田区側担当)

「昨年の反省を受けゴミが多く出た場所の把握に務め、清掃車を出す予定」(浅草・台東区側担当)

 ……と、万全の準備がなされているようだ。また『打ち上げ花火~』のような、穴場観賞スポットに関しては「都市型の大会なので歩きながらの観賞をお願いしています。特に穴場のご案内はございません」(前出・墨田区側担当)という話であった。

 今年も夏がやって来た。夜空の饗宴もさることながら、夏の名作映画である『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか』を懐かしさとともに、眺めてみてはいかがだろうか。
(文=平田宏利)

コメントする

お名前
コメント
画像認証
※名前は空欄でもコメントできます。
※誹謗中傷、プライバシー侵害などの違法性の高いコメントは予告なしに削除・非表示にする場合がございます。