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深笛義也

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※画像:河合弘之弁護士

「強制起訴」「市民の正義」

 7月31日、東京地裁の前で、ふたつの言葉が書かれた幕が掲げられた。福島第一原発事故当時、東京電力の会長であった勝俣恒久、副社長であった武藤栄、武黒一郎が、業務上過失致死傷罪で強制起訴されることが、この日、東京第五検察審査会で決定したのだ。

 私たちが日々接しているニュース。たとえば、高速バスの事故、船の転覆事故、トンネルの崩落事故などでも、事故が発生すれば直ちに管理している会社に警察の捜査が入り、責任者の罪が問われる。だが、事故としては日本史上最大であろう福島第一原発事故に関してはそれが今まで行われてこなかった。これを不思議に思っていた人々も多い。ここに来てやっと、「市民の正義」が実現したと言っていいだろう。

 福島第一原発事故の3年前の2008年、地震調査研究推進本部の地震予測によると、地震が発生すると最大15.7メートルの津波が起こるとの試算が出ていた。責任者である3名は、その事実を知りながら適切な対応を取らずに、未然に防止できるはずの事故を発生せしめた。起訴議決は、そう指摘しているのだ。

 福島第一原発から約4.5キロメートルにあった双葉病院に入院していた44名は、原発事故による放射性物質の放出から逃れるために、長時間の搬送、待機によって既往症が悪化し、死亡している。原発事故との因果関係が認められ、それによって死に至ったのだと、起訴議決は指摘。こうした事実に基づいて、東電元幹部の3名は裁かれることになる。

■弱きを助け、強きを挫く!! 河合弁護士の手腕

 検察審査会への申し立てを行ったのは、被害を受けた住民による、福島原発告訴団。その弁護人のひとりが、今回、紹介する河合弘之弁護士である。

 河合弁護士の事務所は、日比谷公園に面した都心の一等地に建つビルのワンフロアを占めている。中には、一流企業の取締役会が開けそうなほど広くてゴージャスな会議室もある。河合氏は、平和相互銀行事件、ダグラス・グラマン事件、忠実屋・いなげや事件、イトマン事件、光進事件、東京協和信用組合、安全信用組合事件などに関わってきた凄腕のビジネス弁護士だ。

 様々な大事件に関わってきた河合氏だが、どこか心に満足しないものを抱えていた。そして、何が一番大事かを自分自身に問いかけ、後生にいかに安全で美しい地球を残せるかということが一番大事ではないかと思い至る。だが、環境問題としても、漠然としすぎる。そこで、チェルノブイリ原発事故を思い出し、「一番危険なのは原発だ」という結論に行き着いたのだ。

 以前から原発に対する訴訟に取り組んでいた海渡雄一弁護士とタッグを組み、2000年8月に、福島第一原発3号機で予定されていたプルサーマル計画で使用されるMOX燃料の使用差止めを求める仮処分の申請を行った。この一件が、河合氏が原発に取り組んだ最初の裁判だ。

 また“行動する弁護士”である河合氏は、静岡県御前崎市にある浜岡原発に反対する市民たちに、訴訟をするように持ちかける。「でも、頼むお金もない」と市民たちは躊躇した。しかし、河合氏は「金なんかいらない」と言い、2002年に浜岡原発差し止め訴訟が始まった。

 金持ちからは多額の治療費を取り、弱者にはタダで治療を行う、手塚治虫のマンガの主人公になぞらえて、「ブラック・ジャック」と河合氏は呼ばれることもある。

 さらに脱原発を目指して、河合氏は全国を巡っている。

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