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王城つぐ

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 宇宙人研究というと、大学などの学術的な研究機関とは縁遠いイメージだ。だが、宇宙人研究はしっかりと行われている。その全貌を記したものが『宇宙人類学の挑戦:人類の未来を問う』(昭和堂)である。

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※イメージ画像:『宇宙人類学の挑戦:人類の未来を問う』昭和堂

 本書は未知の学問である宇宙人類学への入門書というべきものである。宇宙人類学は、宇宙空間における人類学的研究を指す。当然、未知の生命体である宇宙人とのコンタクトも学問領域に含まれる。

 宇宙人類学の提唱には“周囲からの無理解、揶揄、嘲笑”(p.206)があったと編者のひとりである木村敬一(文化人類学)は本書のあとがきで述べる。ただ、本書には新しい学問の提起に対して、真摯な態度の論考が並んでいる。

 序章「クオ・ヴァディス・アントロポス?(人類よ、いずこへ行きたもう):宇宙が問いかける人類の未来」では大村敬一(文化人類学)によって“宇宙という場で人類の営みについて考えることは、「人間はどこから来て、どのような存在であり、どこに向かうのか」という人類の過去と現在と未来を問う学問、人類学の重要な一翼を担うのではないだろうか”(p.6)と、堂々たる宣言がなされている。すでに欧州では宇宙政策研究には人類学者の参加が見られることへも言及されている。

 第1章「天文学者から人類学への問いかけ:人類は宇宙をかき乱すのか?」では、磯辺洋明(宇宙物理学)によって、宇宙空間の定義、これまでの人間の宇宙利用の経緯などが整理されている。さらに将来的に確実に起こりうる宇宙空間への人類の移住に言及され“地球とは極端に異なると予想される移住先の環境は、長い年月をかけて(あるいは生命工学の力を借りればきわめて短期間に)、地球とは異なる種の生命(あるいは人類)を生むことになるだろう”(p.41)と指摘する。つまり、人間が、宇宙空間に適応して姿かたちを変える可能性について言及されている。

 この点は、第4章「宇宙空間での生は私たちに何を教えるか:宇宙飛行士の経験をめぐって」においても佐藤知久(文化人類学)による、宇宙空間に長期滞在した宇宙飛行士の経験でも言及されている。重力のない空間では、頭に血がのぼり、顔がむくみ、足腰が退化してゆく。つまり宇宙に最適な体へと変化する。宇宙飛行士は地球へ戻り、リハビリを経てもとの体へ戻るが、帰還直後は重力のせいで、平衡感覚を司る感覚器に異常が生じ、自らの力では思うがままに動くことができなくなる。

 ならば、人類が永遠に宇宙に居住し、数世代に渡って生殖が行われたとしたら>b?“地球上に暮らす人類グループとは異なる身体を持つ人類集団が生じることになるだろう”“彼らを地球人たちは、あるいは彼らは地球人たちを、同じ「人間」と呼ぶだろうか”(p.128)。これは人間(地球人)の、“宇宙人化”と見ても良いのではないか。

 未知の領域の学問を立ち上げる際、学術的研究では、先行研究や事例を参照とする。宇宙人類学の場合、宇宙飛行士の長期滞在経験が、ほぼ唯一の事例というべきものだ。

 第3章「ファースト・コンタクトの人類学」においては編者のひとりである木村によって、宇宙人との“未知との遭遇”について述べられている。ここで整理されている“先行研究”はSFに描かれた宇宙人像であり、“宇宙人とのファースト・コンタクトにおいて、理解は成立しうるのかどうか”(p.93)と問いを投げかける。

 これまでの宇宙人とのコンタクトを試みた例として、数学を用いたアレシボ・メッセージや、宇宙空間における地球の位置を物理法則を用いて説明したパイオニア・メッセージ(裸の男女というビジュアル的なメッセージが記されていることでも知られる)が取り上げられている。

 さらに木村は普遍的な理論ではない“身体に根ざす理解というやり方”(p.99)についても言及する。

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