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深笛義

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画像はThinkstockより

 栃木・宇都宮市で、別居中の夫の焼酎に毒物「リシン」を入れ、殺害しようとした疑いで、33歳の妻が11月30日逮捕された。多くの謎に包まれており、事実の解明が待たれるところだ。

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画像は、「毎日新聞/昭和毎日」より引用。帝銀事件を報じた記事

 古来から行われている毒殺だが、現場に多くの痕跡を残す刺殺や銃殺、撲殺などと比べて、毒殺は事実の解明は難しい。昭和23年に帝国銀行の行員が毒殺され現金や小切手が奪われる「帝銀事件」もそうだった。画家の平沢貞通が逮捕され、死刑判決が確定したが、冤罪であるとの声が上がり、作家の松本清張も『小説帝銀事件』において、犯人は平沢ではないと、きわめて詳細に分析している。執行されないまま平沢は獄死したが、その後、捜査に携わった者らも、犯人は別の者であると明言した。

 このように、毒殺では冤罪が疑われるケースが多い。直接証拠はないものの、そうとうに揺るぎない状況証拠で有罪判決が下されたのが、昭和61年に起きた「トリカブト保険金殺人事件」だ。犯人として逮捕された神谷力は、公判中と服役中に『被疑者―トリカブト殺人事件』『仕組まれた無期懲役―トリカブト殺人事件の真実』と2冊の本まで著して、無実を訴えた。


■トリカブト殺人事件とは?

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仕組まれた無期懲役―トリカブト殺人事件の真実』(かや書房)

 沖縄旅行を楽しもうと、神谷力と妻の神谷利佐子さん(38歳)が那覇空港に着いたのは、昭和61年5月19日。利佐子さんは結婚前、池袋のクラブでホステスをしていた。その時のホステス仲間3人も翌20日に合流。さらに自然豊かな石垣島へ行く旅程だが、神谷力は「急用を思い出した」と、那覇から大阪へ帰ってしまう。

 利佐子さんと3人の友人は予定通り、那覇から飛行機で石垣島に正午過ぎに到着する。ホテルにチェックインした後に、利佐子さんは悪寒を訴え、手脚を痙攣させ、大量の汗をかいた。救急車で八重山病院に搬送されたが、午後3時4分に死亡が確認される。死因は急性心筋梗塞と診断された。

神谷は、自分を受取人として利佐子さんに1億8,500万円の生命保険をかけていた。加入は死亡のわずか20日前、月々18万円の掛金は1度しか支払われていない。神経系の病気での利佐子さんの通院歴を契約時に告知していなかったことを理由に、保険会社は支払いを保留した。

 5年後の平成3年6月9日、神谷(当時、51歳)は横領容疑で警視庁に逮捕された。そこで、利佐子さんの死が、神谷による保険金殺人である可能性が浮上する。利佐子さんの司法解剖を担当した当時の琉球大学医学部・大野曜吉教授が死因に不審を持ち、心臓と血液を保存していたのだ。

琉球大学、東北大学、東京大学による分析によって、そこから毒草トリカブトに含まれるアコニチン、フグ毒に含まれるメサコニチンが検出される。神谷がトリカブト62鉢、クサフグ1200匹を購入していることも分かった。神谷は7月1日、殺人と詐欺未遂で再逮捕された。

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