>  >  > 次々と記憶が消えてゆく奇病

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抗NMDA受容体抗体脳炎

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記憶

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画像は、『50回目のファースト・キス』(ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)

「50回目のファースト・キス」という映画をご存知だろうか?

 ハワイを舞台にしたロマンティック・コメディ作品なのだが、物語の中で人気女優のドリュー・バリモアが演じるヒロインは、交通事故が原因で記憶障害を患っている。事故前日までの記憶はあるのだが、眠りにつくと、その日に体験した全ての記憶が消去されてしまうのだ。このヒロインへ恋をした主人公が、来る日も来る日もアプローチを続け、何度もファースト・キス繰り返すという切ない恋物語だ。

 これは実在する人物をモデルにしたストーリーであったが、こうした事例はいまだに少なからずあるようだ。


■実際に起きた、奇妙な記憶障害

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画像は、「DailyMail」より

 先月20日、デイリー・メールに紹介されていたイギリス人女性が患っている記憶障害は、映画よりもさらに深刻だ。

 22歳のジェニー・グリーブに異変が起きたのは2014年の8月だった。彼女は頻繁に発作を起こし、突然、意味もなく泣いたり笑ったり、それまでの彼女とは別人のようになってしまったのだ。

 病院へ搬送されたジェニーは、当初、その症状から精神科の診断を受けたのだが、医者は心の病気ではなく彼女の脳に異常があるのではないかと推測した。精密検査の結果、彼女は非常に珍しい脳炎を発症していたことが判明したのだ。

 その名の通り脳が炎症を起こす脳炎は、ウイルスや細菌が脳内へ入り込むことで引き起こされるケースもあるのだが、ジェニーの場合、原因は彼女自身の免疫システムにあった。

 それは「抗NMDA受容体抗体脳炎」と呼ばれ、2007年にペンシルバニアの研究チームが提唱したことで明らかとなった新しい疾患だ。本来は感染などに対応する免疫システムが、誤って健康な脳を攻撃してしまうことによって引き起こされてしまう。

 初期症状はインフルエンザのような発熱、頭痛に始まり、やがてジェニーのように発作や精神障害に似た症状が始まる。まだ発見されてから日の浅い疾患のため、有効な治療法は確立されていないが、ジェニーは病院で長期に渡る投薬治療を受けることになった。
 
 そして、入院してから2カ月ほどたった頃だった。

 ある朝、目を覚ましたジェニーは酷く困惑した。自分がなぜ病院にいるのかがわからなかったからだ。周囲には見知らぬ顔ばかりで、付き添っていた母親とも話が噛み合わない。それもそのはず、この時ジェニーは自分が2010年にいるのだと思っていたからだ。

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