【ググっても出ない毒薬の手帳】~あなたの知らない毒のソコノトコロ~

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【ヘルドクター・クラレのググっても出ない毒薬の手帳 第3回、クロロホルム/後編】 

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画像は、Thinkstockより

※前編はコチラ そういうわけで、後編です。


■100年間解明されていないクロロホルムの謎

 そもそもどうしてクロロホルムで気絶するのでしょうか? もとい、こうした分子をうまく吸わせると意識を失わせる(全身麻酔)原理はいったいなんなのでしょう?

 現在ではクロロホルムに始まった麻酔薬の研究も進み、医療用にもクロロホルムが進化したかのような吸入麻酔薬が使われています。しかし結論から言うと、そのメカニズムは実はまだよくわかっていません。わかってないというのは、その作用部位(たとえばどの受容体に作用するか)が不明だということです。

 モルヒネなどの薬物は、体内にオピオイド受容体というものがあり、そちらに作用することで痛みの感受性を下げる…という原理は判明しているのですが、登場から100年以上経つ現在も、クロロホルムがどうして麻酔性を持つのかは、仮説しかたてられていないのが現状です。

 仮説はこうです。

・有機溶剤は血中に入ると溶け出し、まわりの油脂を集めるのですが、それ自体が麻酔のスイッチになる
・細胞膜間のやりとりが有機溶媒によって緩慢になり、それが麻酔という結果として出てくる

 いやいやATPの利用自体を阻害するからそれで…といった、まぁいろいろな仮説があり、もしかすると全部正解かもしれないし、全部間違いなのかもしれないわけです。


■キセノンの麻酔性も不明なまま?

 ちなみに、理系の人にはおなじみの希ガス。周期表ではヘリウムからラドンまで縦1列の原子ですが、その中のキセノンは強い麻酔性を持っていることが知られています。

 希ガスというのは、ほぼすべての原子と反応しないボッチ元素。つまり何とも反応しないで素通りするだけなのに、人間が吸うと麻酔として作用される…。麻酔の完全解明はまだ先のことになりそうです。

 加えて他の希ガスも高圧にすれば麻酔性があることがわかり、そもそも有機溶剤の多くは何らかの形で麻酔性を持っているということが経験則的にわかっています。麻酔というのは実に奥の深い学問である、と覚えておきましょう。

※次ページ、クロロホルムとラリる関係

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