>  > 「ラオックス」に中国人が殺到するワケ

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日刊サイゾー

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2015年春節、中国人客でごった返すラオックス銀座本店前の様子

【日刊サイゾーより】

 総合免税店「ラオックス」が、中国人留学生を不法に雇用していたとして、大阪府警外事課は12月25日、同社と中国籍の羅怡文(ら・いぶん)社長をそれぞれ出入国管理法違反(不法就労助長)などの疑いで書類送検した。また、元店長の男ら関係者3人と、アルバイト従業員として働いていた中国人留学生4人も、同法違反で逮捕された。

 外国人留学生の就労には、週28時間の法定上限時間がある。しかし、大阪市内にある4店舗では、中国からの爆買い観光客が増加する中、留学生ら15人をこの上限を超えて働かせていたのだ。販売を担当していたある留学生は、週60時間以上働いていたという。 

 確かに猫の手も借りたいほどの繁盛ぶりであることは、銀座本店をのぞけばすぐにわかる。春節や国慶節ではなくても、中国人観光客の一行を乗せた大型観光バスが次々と店の正面に横付けされ、吐き出された乗客が店舗内へと吸い込まれていく。

 ラオックスの2014年度の決算資料を見ると、国内店舗売り上げが大きく寄与し連結売上高は、前年度比151%増となる500億円を突破。訪日中国人全体の半数近くに当たる、のべ112万人以上が同店を利用している。

 ラオックスは09年8月に中国の家電量販店最大手・蘇寧電器集団の傘下となっており、中国人観光客の間で知名度があるのは確かだ。それでも、多くの日本人にとっては、ラオックスはなぜここまで中国人観光客の支持を集めているのか、今ひとつピンと来ない。

「総合免税店」をうたうラオックスだが、外国人旅行者の場合、ヨドバシやビックカメラ、ヤマダ電機などの大手家電量販店でも、消費税の支払いが免除される。また、それらの主要店舗でも中国語対応のスタッフが常駐しており、言葉の問題はない。さらに、商品価格を比べてみても、ラオックスは大手家電量販店と比べて、割高であることが多いのだ。

 それでも中国人観光客がラオックスに殺到する理由について、中国事情に詳しいルポライターの奥窪優木氏は話す。

「ラオックスは、団体旅行商品を販売する中国の旅行会社とキックバック契約を結んでいる。ツアーの行程の中にラオックスへの来店を組み込ませる代わりに、ラオックスは来店したツアー参加者が支払った金額に応じて、旅行会社にリベートを渡す。ラオックス以外の中国系の免税店も、旅行会社と同様の契約を結んでいて、キックバック率は8~12%ほどといわれています。こうした中、旅行会社は、団体旅行商品の価格は採算度外視で設定し、キックバックで収益を上げるというのが主流になっています」

 観光庁の調べによると、2014年の訪日中国人の平均買い物額は13万4,067円。この金額のすべてに8%のキックバックが行われたとすると、観光客1人当たり1万円以上のリベートを、旅行会社が受け取ることとなるのだ。ちなみに日本政府観光局の想定では、14年には中国人観光客全体の約6割に当たる約147万人が団体旅行によって訪日している。

 2015ユーキャン新語・流行語大賞にも選ばれた「爆買い」は、日本製品への信頼や円安人民元高などが要因とされている。しかし中国人の爆買いに限っていえば、中国系免税店と旅行会社の間で結ばれているキックバック契約も、第三の要因といえそうだ。

 日本の景気を刺激すると期待されている中国人観光客だが、爆買いマネーの大部分は中国へと還流しているのかもしれない。
(文=牧野源)

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