>  > ノンライターが振り返る『西鉄バスジャック事件』の全貌

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――日本で実際に起きたショッキングな事件、オカルト事件、B級事件、未解決事件など、前代未聞の【怪事件】をノンフィクションライターが紹介する…!

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※イメージ画像:Thinkstockより

 15人の尊い生命が失われた、1月15日に起きた軽井沢スキーバス転落事故。その後も、17日に兵庫で70歳の運転士が意識不明になり蛇行運転、また1月20日には愛媛で観光バスがガードレールに激突するなど、大惨事一歩手前の事故は毎日のように起きている。

 乗り込んでしまえば乗り替えることもなく目的地に連れて行ってくれる高速バスは、快適だ。しかし、命をバスに託しているとも言え、ひとたび何かあれば暗転する。

 その意味で思い起こされるのは、平成12年5月3日に起きた、西鉄バスジャック事件だ。

■西鉄バスジャック事件

「あなたたちが行くのは楽しい天神じゃありません。地獄です」

 乗っ取られたのは、佐賀県佐賀市の佐賀駅バスセンターから、福岡県福岡市の西鉄天神バスセンターを目指す、西日本鉄道の高速バス「わかくす号」。

 刃渡り32センチの牛刀を持って乗っ取ったのは、17歳の少年、片山孝一(仮名)だった。

 小学生の頃から、学校で友人に馴染めなかった孝一は、中学に進むといじめを受けるようになる。だが、家庭では、「この家の跡取りは僕なんだ」と言って、両親に罵詈雑言を吐き、物を投げつけるなどの暴力を振るった。

 高校の受験日が近づいた平成10年2月。校舎の外階段の高さ5メートルほどの踊り場から地面に飛び降りる度胸試しをすることを、孝一は級友に迫られる。3人の級友は次々に着地をしてガッツポーズを決めた。順番が来て、腰が引けた孝一だが、「意気地なし」の声に煽られて飛び降りる。だが、うまく着地できず、尻と腰を地面に叩きつけることになった。救急車で佐賀市内の整形外科病院に搬送され、第一頸椎を圧迫骨折していると診断された。骨折の位置が2ミリずれていたら、半身不随になっていた。

 受験日はまだ入院していたが、特別な配慮により病室で筆記試験と面接試験が行われ、県下で有数の進学校である佐賀県立致遠館高校に合格する。中学の校長と担任、同級生が病室にやってきて、孝一のためだけの卒業式が行われた。

 コルセットを着けて歩けるようになった孝一は、致遠館の新入生オリエンテーションに参加する。自己紹介が行われ、孝一の番が来たが、緊張のために声を詰まらせて言葉にならず、同級生たちの嘲笑に晒されることになった。

 孝一は9日間だけ通い、不登校になった。引きこもりがちな息子を心配する父親にハンドルを握らせ、京都、大阪、奈良、神戸、浜松、名古屋、京都へドライブする「お出かけ」を度々強要した。

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