>  >  > 『フリークス』を愛した男が作った映画『ザ・フリークメーカー』

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――絶滅映像作品の収集に命を懸ける男・天野ミチヒロが、ツッコミどころ満載の封印映画をメッタ斬り!

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『ザ・フリークメーカー』(『悪魔の植物人間』)

今回の映画:『ザ・フリークメーカー
(悪魔の植物人間)』
1973年発売/アメリカ

 特殊メイクではない実際の奇形人間を見世物として出演させ、製作国イギリスでは公開後30年間に渡って封印されていた『フリークス』(1932年)。

 幼少期から「変わった子」と言われながら育ったイギリスの映画プロデューサー、ロバート・D・ワインバックは、その『フリークス』を12歳の時に観て大きな衝撃を受けた。やがて成人となり、映画業界に足を踏み入れたワインバックに、かねてからの夢だった『フリークス』のオマージュ作品を製作するチャンスが訪れた。上層部の付けたタイトルは『ミューティレーションズ(突然変異)』だったが、ワインバックは最初から決めていた『ザ・フリークメーカー』で押し通した


■『フリークス』への愛を感じさせるストーリー

 鑑賞すると、超スローモーションによる水滴落下で水面にできる水の王冠、高速再生で見せる植物の発芽・成長・開花という、ホラーとは思えない格調高いオープニングにまず目を見張る。

 物語はロンドンのある大学でノルター教授(ドナルド・プレザンス)によるクローン技術の講義を受講していた女子大生が、帰宅中に不気味な大男によって拉致されるところから始まる。その男は顔が醜く変形しているため、「世界一醜い男」としてカーニバルの見世物になっていたリンチ(トム・ベイカー)だった。リンチはノルター教授に「顔を治してやる」とそそのかされ、人体実験用の人間を誘拐していたのだ。そのリンチの特殊メイクを施したのは、2年後に『スター・ウォーズ』(1977年)第1作目に参加したチャールズ・パーカーだ。

 ノルター教授の研究室。教授は抱きかかえナデナデしていたかわいいウサギを、食虫植物ハエトリグサのオバケみたいな植物にホイッと与える。「キィー、キィー」と鳴きながら食われていくウサギを無表情で眺めるノルター役のドナルド・プレザンスは、『ハロウィン』シリーズのルーミス医師で大ブレイク。以前このコラムで紹介したオーストラリアのカルト映画『荒野の千鳥足』(1971年)での怪演も印象深い。プレザンスはこの役を狂気に走らず、むしろ控えめに演じた。普通にトンデモ学説を論じる…そこがかえってマッド・サイエンティストの雰囲気をまとわせることに成功している

 その後、ノルター教授の研究に興味を示すアメリカの生物学者ブライアン博士(ブラッド・ハリス)が訪英する。ハリスはドイツなどで活躍していたアクション系俳優だが、プロデューサーのワインバックがコペンハーゲンのバーで知り合い、同じ娼婦を抱いたという縁もあり(笑)、出演のオファーをしたという。教授は「植物と動物の性質を兼ね備えた新生物を作り、光合成によりエネルギーを得て、食糧危機に備えるのだ」とブライアンと学生たちに語る。さらわれた女子大生は、その実験台にされていたのだ。

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