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【ググっても出ない毒薬の手帳】~あなたの知らない毒のソコノトコロ~

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【ヘルドクター・クラレのググっても出ない毒薬の手帳 第6回、トリカブト/前編】 

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イメージ画像:「Thinkstock」より

 トリカブト。青酸カリをはるかに超える猛毒を含み、なおかつ園芸店などで普通に売られているという入手性の良さで、われわれに最も身近な猛毒といえます。

 あまりにも当たり前に存在する、日本を代表する毒草でありながら、トリカブトを使った犯罪は滅多にないため、本当は危なくないの? なんて言われていますが、今回はその毒性を掘り下げていきます。

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イメージ画像:「Thinkstock」より

■矢毒で分かる文化圏

 名古屋学院大学教授の民族学者、石川元助が著書『毒矢の文化』(紀伊国屋書店)の中で面白い文化圏の分類法を紹介しています。

 それは、ほぼ世界共通でわれわれの祖先が、古くから狩猟に使っている矢毒に注目し、毒の種類、つまりその材料となる毒物によって文化圏が分かるというもの。

 確かに狩猟と矢毒というのは切っても切り離せません。さらに、その製法は乱用されないようにその文化圏でギルド的に守られるので、そうした側面も考えると非常に地域性が出る……と言えるわけです。

 たとえば、自分のペンネームの元にもなっている「クラーレ」は、南米を中心とした狩猟用の矢毒として知られているもので、これをもとに、南米をクラーレ文化圏と分類できます。クラーレに含まれる「d-ツボクラリン」はアセチルコリン受容体の脱分極剤として、現在の筋弛緩剤の研究のスタートになっていたりします。その辺はまた今後の「神経毒」というまとめで紹介します。

 また、アフリカ大陸はストロファンタス毒文化圏と分類されます。ここではキョウチクトウ科の「ストロファンタス・グラツス(Strophantus gratus)」の種から「ストロファンチン」を取り出します。これは猛烈な強心配糖体であるストロファンチン類を含み、その性質は心臓を収縮させて、心臓を止め上げて殺すというダイレクトアタックな神経毒で知られています。

 東南アジアは「イポー」というクワ科のどろどろした樹液をベースにした毒矢が知られ、イポー毒文化圏です。

 そして日本の本州の真ん中あたりから東北アジア、シベリアやアラスカにかけてはトリカブト毒文化圏と呼ばれ、寒冷地を好むトリカブトが矢毒の主原料として使われており、われわれにも馴染みある毒草となっています。園芸店で売られる時期が春先から初夏にかけてというのも、暑さに弱い高山植物であるが故というわけです。

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