>  > 市販の放射線対策グッズの効果は?

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『放射線対策グッズをすべて試す』(三才ブックス)


【本と雑誌のニュースサイトリテラより】

 今年3月11日をもって東日本大震災から5年が経過する。しかし、残念なことに、我が国は福島第一原発の事故を教訓にすることなく、次々と原発の再稼働を続けようとしている(高浜原発運転差し止めの司法判断はあるものの)。こんな状況では、いつ第二の福島が生まれてもなんらおかしくない。

 結局、自分の身は自分で守るしかない──。そんな人々の恐怖心を煽るかのように、「放射線対策に効果がある」と喧伝されたグッズが市場には溢れている。しかし、それらの商品は本当に効き目があるのだろうか? 『放射線対策グッズをすべて試す』(三才ブックス)は、そういったアイテムを実際に使い、その効果を科学的に検証している。

 まずは、汚染された土壌の除染に効果があるとされているグッズからテストを開始。放射性物質の除染に関連するアイテムには、放射性物質を「除去」するタイプのものと「吸着」するタイプ、二つのタイプがあるが、本書ではそれぞれについて検証を行っている。

「除去」タイプでテストされているのは、創生水・EM菌・水素水の3つ。創生水は、科学機器メーカーの創生ワールドが開発したもので、「奇跡の水」と呼ばれ、福島県飯館村に生成器が置かれたことでも話題となった。EM菌はチェルノブイリで土壌除染に使われたと噂され一気に需要が高まっている。水素水は一般的な健康グッズとして人気の商品だが、土壌汚染に効果があると言う声も大きい。

 では、その結果は──。なんと、水道水で除染したものと何の差もなし。除染に効果があるとされている特殊な水を大枚はたいて購入しようと、水道水を使おうと何ら変わらなかったのである。

 では、もうひとつのタイプ、放射線汚染を「吸着」すると言われているものはどうだろうか。本書で取り上げられているのは、実際の福島第一原発の汚染水処理でも投入されたと言われているゼオライトと、匂い消しや浄水などの用途で家庭でも使われる竹炭。

 この「吸着」タイプでは、ゼオライト・竹炭いずれも、元は1900ベクレルあった土壌の汚染を1600ベクレルまで下げることに成功。「吸着」系の商品では一定の効果が実証された。ただ、ひとつ問題がある。

 当然だが、除去された汚染はどこかに消えたわけではなく、ゼオライトなり竹炭なりに「吸着」されただけである。実際の被災地の除染作業でもはぎ取った表土の置き場をめぐり問題が出ているが、このケースでも同じく、汚染されたゼオライトや竹炭をどう処理するのかという問題が出てくる。素人考えの除染は、より問題を複雑化させてしまうことにもつながってしまう。

 土壌汚染除去に関する製品は素人が買ったところで何の意味もないことが分かった。では、内部被ばくに効くと言われているサプリメントはどうか?

 検査の俎上にあげられたのは、消化器官で放射性物質に吸着し体外に排出させるというリンゴペクチン、ヨードを摂取することで放射線防護作用が生まれるという海藻サプリ、ガン予防に効果があるというレスベラトロール、抗酸化物質ということで効果が期待されるビタミンC、含有されるヨウ素がヨウ素剤の代わりになるというイソジンなどのうがい薬、そして、発酵させた液体を噴霧し吸い込むと放射性物質が咳として出てくると噂されている米のとぎ汁の以上6種。

 米のとぎ汁やうがい薬など、聞いただけでオカルトな雰囲気のするものも含まれているが果たして?

 結果は、こちらもすべて効果なし! ちなみに、ヨウ素剤は確かに、内部被ばく予防に効果があるのだが、それは本当に限られた条件下でのみ。成長期の子どもが、核汚染の2週間〜4週間の期間内に大量に飲めば、放射性ヨウ素を体外に排出させることができるが、それ以外のケースではまったく効果なし。ちなみに、うがい薬に入っているヨウ素は「ヨウ素カリウム」で、人体には害悪な物質。内部被ばく予防に効果がないどころか、飲むことで健康を害する恐れがある。

 リンゴペクチンはセシウムを排出する効果があるのか懐疑的なうえ、そもそも高価なサプリも普通にスーパーに売っているジャムなどと中身は同じ。飲んでも健康に害はないが、放射線対策グッズとしての効果はない。ビタミンCも同様。健康に害はないが、放射線対策グッズとしては意味をなさない。海藻サプリはそのなかに含まれるヨウ素が簡易ヨウ素材の役割を果たすと言われているが、先に述べた通り、ヨウ素剤が効力を発揮するのは限られた条件下のみである。レスベラトロールは、赤ワインに含まれるポリフェノールの一種。こちらも健康に害はないが、放射線対策としての効果もない。ただ、ポリフェノールは他の薬に影響をおよぼすことがあるので、常用薬がある人の場合注意が必要だ。

 そして問題なのは、米のとぎ汁である。毒出しのため目にふりかけるなどの使われ方をしているが、目が真っ赤になるなどのトラブルが続出。うがい薬と同じく、内部被ばく予防の前にこのグッズ自体が健康を害する原因となる。

 以上見てきたように、放射線対策グッズは放射能に対する人々の恐怖に付け入ってビジネスを展開する。しかし、それらの商品はどれもまともに効力を発揮してはくれない。自然界に散らばった放射能自体を消す方法など存在しないからだ。

 放射性物質が起こす健康被害から身体を守る術は我々にはない。だからこそ、原発事故は二度と起こしてはならないし、原発を再稼働させるべきではないのだ。
(井川健二)

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