餓死する2日前の子どもの瞳が訴えかけるものとは? 骨と皮になった生後5カ月の赤ん坊は絶望を見て死んだ=イエメン
満足な栄養が与えられない中、生後3カ月が過ぎたあたりでウダイくんは下痢を発症するようになった。父親はすぐに地元の病院に連れて行ったのだが、そこに立ちはだかったのは医療費の問題だ。今のアフマド家にはとても負担できない金額だったのだ。しかしウダイくんの症状は治まる気配を見せず、仕方なく両親はウダイくんを急患であるとして救急病院へと運んだのだ。
ウダイくんは重度の栄養失調と肺の感染症を併発しており、抗生物質の投与などの救急措置が施されたが、容態はいっこうに改善しなかった。生後5カ月のウダイくんだが、この時の体重はたいていの乳児よりも軽い2400グラム。苦しい時にウダイくんは泣き声をあげるのだが、脱水状態にある身体のその瞳からは涙が流れることは一度もなかったという。
医師からは「望みはない」と告げられ、一方でまたしても医療費の問題に直面した両親は、ウダイくんを家に連れて帰る苦渋の決断をした。そしてその2日後、ウダイくんは家族の悔し涙が浮かぶ顔に看取られながら息をひきとり、その短すぎる生涯を閉じたのだった。戦火の中で生を授かるも、飢餓の苦しみしか味わうことなく5カ月あまりの生を終えたウダイくん。もちろん現地にはウダイくんと同じように深刻な栄養失調にある乳幼児や児童がまだまだいる。今回の停戦の間に食糧援助や医療支援、場合によっては大規模な避難などの抜本的な救済措置が取られることを期待したい。
(文=仲田しんじ)
参考:「Daily Mail」、ほか
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