「母子の絆は父子の絆より深い」は真っ赤なウソであることが判明!

■強い絆をつくる「オキシトシン」は男性にも分泌される

「オキシトシン」分泌のメカニズムにはまだ不明点も多く残っているが、男女ともに愛撫や抱擁、性行為などの際に分泌され、相手への信頼感を増し、闘争欲や恐怖心を減少させる効果があることから「愛情ホルモン」との異名をとる。さらに母親の場合は、分娩時に子宮を収縮させたり、母乳を与えるときに増加することもわかっている。そして育児に臨む男女では、以下のようなタイミングで「オキシトシン」が大量に分泌されることが判明しているようだ。

母親:子どもと“赤ちゃん言葉”で話したり、瞳をじっと見つめた時。
父親:子どもと戯れたり、あやしている時。泣き声を聞いた時。

 そう、子どもとの強い絆を育むために必要不可欠なホルモン「オキシトシン」は、シチュエーションの微妙な差こそあれ、女性のみならず男性にも同様に分泌されるものなのだ。これは、母親のほうが父親よりも子どもと“必然的に”強い絆でつながっているわけではないことを示している。


■母親のほうが育児に携わる時間が長いという現実

 さて、育児における「オキシトシン」分泌のタイミングを考えればわかるように、これは母親であろうと父親であろうと、子どもと過ごす時間が長ければ長いほど絆も強くなるという当たり前の事実を示している。以上のことから、世界各国で父親よりも母親のほうが子どもと強い絆で結ばれていると考えられている背景には、結局のところ女性の社会進出が進んでいるとはいえ、母親のほうが育児に携わる時間が長く、父親のほうが子どもと接する時間が短いことを示している可能性があるのだ。

 そして、これまでは「母親のほうが父親よりも“生物学的に”子どもと特別な絆で結ばれているために育児に向いている」と捉えられる傾向にあったが、実はこれは原因と結果が逆であり、実態は「母親のほうが育児に励んでいるからこそ、結果的に特別な絆で結ばれる傾向にある」というわけだ。 


 社会の変化や技術の革新に伴い、育児のあり方は今後も急速に変化を続けるだろう。しかし、「子どもとのふれあいこそが親子の強い絆を育む」という基本だけは決して変わらない。最新の科学が、改めてこの大原則を私たちに気づかせてくれたのだ。
(編集部)


参考:「The Daily Mail」、ほか

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