>  >  > 奇妙すぎるラブ・ストーリー『問いの書』

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【拝啓 澁澤先生、あなたが見たのはどんな夢ですか? ~シュルレアリスム、その後~】――マルキ・ド・サド、そして数多くの幻想芸術……。フランス文学者・澁澤龍彦が残した功績は大きい。没後20年以上たったいま、偉大な先人に敬意を払いつつ、取りこぼした異端について調査を進める――。


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エドモン・ジャベス 画像は「Wikipedia」より引用

 エドモン・ジャベスの名にピンとくる人はどれくらいいるだろう? 20世紀を代表する作家のひとりに違いないが、知名度はそれほど高くはないのではないだろうか。しかし、ポール・オースターと聞いてピンとくる人はどれくらいいるだろうと言い換えたら、反応はだいぶ変わるのではないかと思う。だから今回は、シュルレアリスムに影響され執筆活動を始めたエドモン・ジャベスについて紹介したいと思うが、その前に、ポール・オースターについて簡単に触れておきたい。


■エドモン・ジャベスの世界を愛したポール・オースター

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ポール・オースター 画像は「Wikipedia」より引用

 もはや説明不要とさえ思えるが、ポール・オースターといえば、現代アメリカを代表する小説家の1人だ。1985~87年の『ニューヨーク三部作』が話題となり、その後も現在に至るまで着々と話題作を発表し続けているが、小説家になる前の彼がどんな生活をしていたかということについては、あまり知られていない。

 小説家としてデビューする前、オースターが生業としていたのは、フランス語の翻訳(といっても、生活費を稼ぐために文学とはほぼ無関係な書類がほとんど)と詩作、そしてブックレビューだ。

 彼のブックレビューの主な発表の場は『ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス』で、仕事の形態はいわゆる依頼原稿ではなく、都度、自分が偏愛している作家について紹介するというものだった。このレビューのなかで取り上げられた作家の一部を挙げれば以下の通りだ。フランツ・カフカ、サミュエル・ベケット、フーゴ・バル、(以前このコーナーでも取り上げた) ルイ・ウルフソン、パウル・ツェラン、そしてエドモン・ジャベス。

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空腹の技法』(新潮社)

 若干、フランス語圏の作家に偏っているような気もするが、時代やオースターのバックグラウンドを考えれば頷ける、つまり見方によってはこのセレクションは、後に展開されるオースターの作品世界の前史とも解釈できる興味深いものだ。

 これらのブックレビューは現在、『空腹の技法』というタイトルで一冊にまとめられ、邦訳も刊行されているが、この本のなかでオースターが特に熱心に紹介しているのがエドモン・ジャベスなのだ。ブックレビューのみならず、本人インタビューまで行っている。

空腹の技法 (新潮文庫)

空腹の技法 (新潮文庫)

ポール・オースターによるブックレビュー

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