• このエントリーをはてなブックマークに追加
  • コメント0
関連キーワード:

深笛義也

,

通り魔

0528toorima_01.jpg
※イメージ画像:Thinkstockより

 男も女も逃げ惑う、泣き叫ぶ子どもたち…。のどかな時間が流れていた白昼の街が、一瞬にして阿鼻叫喚の巷と化す。殺す相手は誰でもいい…。通り魔は、殺人の中でも、とりわけ恐ろしい。今回は、忘れられない、通り魔事件を3例紹介しよう。

【CASE 1】下関通り魔殺人事件

0528toorima_03.jpg
※イメージ画像:『下関駅通り魔事件被害者の会』より

「事件は自分の意思でやったが、追い詰められていくうちに、神の指示があったように思う。特に声は聞いてないが、頭は神の指示で動いた」

 法廷でそう語ったのは、下関で通り魔殺人を起こした、上部(うわべ)康明だ。

 昭和39年、山口県豊浦町で生まれた上部は、高校時代はトップクラスの成績を収め、九州大学工学部建築学科に進学した。大学を卒業すると建築事務所で働き、一級建築士の試験に一発で合格している。その後、独立して福岡市内に事務所を開き、翌年には結婚した。

 だが事務所は数年で立ち行かくなった。上部は対人関係を構築することが苦手で、営業して仕事を取ってくることができなかったのだ。その後、妻とは別居。平成11年2月、上部は実家に帰った。当初は両親の畑仕事を手伝っていたが、ローンで購入した軽トラックで運送業を始めた。

 6月、ニュージーランドをひとりで旅していた妻が戻ってくると、上部に離婚を切り出した。上部は、35歳になっていた。

 沖縄の南海上で発生した台風が、9月24日、山口県に上陸した。冠水によって、上部が仕事に使っていた軽トラックが使用できなくなった。上部は、車のローンの肩代わりと海外移住費用の借用を父親に頼んだが断られている。

 そして9月29日の朝、「冠水した車の廃車手続きは自分でするように」と父に告げられた上部は、午後1時20分過ぎ、JR下関駅近くのレンタカー会社で普通乗用車を借りた。午後4時25分、上部の運転する車は下関駅のガラスドアをぶち破り、コンコースに飛び込んだ。

 走り続ける車のボンネットに歩行者が跳ね上がり、倒れた人を轢いていく。停まった車から降りた上部は刃渡り18センチの包丁を手にし、ホームに駆け上がりながらすれ違う人々に斬りつけた。取り押さえられる数分の間に、死者5名、重軽傷者10名という惨事が引き起こされた。

 裁判の一審では精神鑑定も行われ、「妄想性パーソナリティ障害」であり、責任能力を限定的にしか問えないとの結果も出た。だが、二審で新たな精神鑑定が行われ、「軽度の対人恐怖症で被害妄想もあったが、犯行に直接関係していない」と責任能力を認める結果が出た。

 平成20年7月11日、最高裁で死刑が確定。平成24年3月29日、死刑が執行された。享年48であった。

関連キーワード

コメントする

お名前
コメント
画像認証
※名前は空欄でもコメントできます。
※誹謗中傷、プライバシー侵害などの違法性の高いコメントは予告なしに削除・非表示にする場合がございます。