>  >  > フグの毒とトリカブト併用で完全犯罪が可能

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【ヘルドクター・クラレのググっても出ない毒薬の手帳 第9回 フグ毒テトロドトキシン/後編】

●前編は「フグ毒「テトロドトキシン」で死ぬ時どうなる!?

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イメージ画像:「Thinkstock」より

 世界は毒で満ちている。

 フグ毒、TTX(テトロドトキシン)の構造は、赤潮の原因となるプランクトンが生産するゴニヨートキシンなどと同じで、かつ毒性も似たり寄ったり。前回は、そうした毒がさまざまな動物の体内を行き来しているという話をしました。

 今回は、体内に入り込んだTTXがどういったことをして、毒性を発揮するのかを見ていきましょう。フグ毒とトリカブトの毒は実はライバル関係にある!? なんてこともわかってきます。


●覚えてるかな? ナトリウムチャンネルの仕組み

 トリカブトの毒を紹介した際にも説明したように、私たちの神経は、神経細胞同士がシナプス(細胞と細胞の間で化学的な情報伝達を行う)でつなげられたネットワークを構築しています。

 その神経細胞の軸索(突起)は、細胞の外にあるナトリウムイオンを、ナトリウムポンプという燃費の悪いシステムを使って出し入れして、脱分極/再分極を繰り返し、情報の伝達効率を上げようとしています。

 つまりこの軸索には、ナトリウムの能動的な出入り口が存在するわけですが、トリカブトの毒・アコニチンは、このチャンネルを開きっぱなしにすることでナトリウムの流入を止まらなくして、それが心臓などの中枢まで至ると命を落とすことになります。

 しかし、今回解説するTTXは、このナトリウムチャンネル自体に蓋をしてしまう毒なのです。

 これではナトリウムが入ってこなくなるので、興奮刺激は止まり、神経の電気的な情報伝達自体も止まってしまいます。ゆえに、症状としても心拍は弱まり、感覚も鈍り

「ゆっくりして逝ってね!」

 となるわけです。ようするに、TTXはトリカブトの毒と真逆の働きを持つ毒ともいえるわけです。しかも、人間の致死量も極めて近く、まさに「海の幸、山の幸」ならぬ、「海の不幸、山の不幸」の関係性。

 では、この2つの毒を併用するとどうなるのでしょう? それを実行し、完全犯罪を試みた、歴史的にも極めて珍しい“まさかの事例”があるので紹介しましょう。

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