>  > 地球最凶の毒「テタヌストキシン」で死ぬ仕組み

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【ヘルドクター・クラレのググっても出ない毒薬の手帳】
第12回 最強毒素テタヌストキシンと破傷風/後編

前編たった0.0000001グラムで逝く!! 地球最凶の毒素「テタヌストキシン」で死ぬ日本人が急増のなぜ

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再建された731部隊の建物 画像は「Wikipedia」より引用

■731部隊も研究していた破傷風菌

 かの大戦中、旧日本陸軍の細菌兵器研究部門、関東軍防疫給水部本部こと満州第七三一部隊、通称731部隊でも研究していた記録が残されている破傷風毒素。後編では、その最強生物毒たる破傷風毒素がいかなる物質で、どのように人を殺すのか見ていきましょう。

 破傷風菌は、釘や尖った石を踏んだり、土砂で全身を擦ったりなど、土が体内に埋め込まれるように入り込んでしまった場合、「時は来た!」とばかりに増殖を開始します。傷が密封された状態となるうえ、挫滅した部分は血流も悪く酸素が極めて乏しいからです。そして増殖時に、地球上で最凶の神経毒「テタヌストキシン」を分泌します。

 前回のようにワクチン(厳密にはワクチンではなくトキソイドといいます)を打っておけば、このテタヌストキシンに対して体が無害化できるのですが、免疫がなかったり、ワクチンの効果が切れていたりすると、本来の毒性を発揮します。


■神経を“逆走”する猛毒

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電子顕微鏡で見た破傷風菌 画像は「Wikipedia」より引用

 テタヌストキシンは極めて強力かつ変わった毒で、神経線維内を進むという特性を持っています。その進む先は、神経中枢すなわち脊髄です。主成分は、分子量にして約15万という大きさのタンパク質で、正式名を「テタノスパスミン(Tetanospasmin)」といいます 。

 破傷風菌が体内に入り込む場所は、たいてい手足の末梢の傷など。そこで生産された毒素が、逆行性輸送という神経伝達を逆走する形で脊髄などの中枢に至ると、神経刺激の伝達を阻害します。そしてこの毒は、運動ニューロンの抑制刺激を伝える根元の部分と結合して、その働きを止めてしまうのです。
 

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イメージ画像:「Thinkstock」より

 トリカブトやテトロドトキシンのときにも説明しましたが、神経というのは、興奮と抑制の2つが絶妙にバランスを取り合って(すごいエネルギー消費も厭わず)我々の体を維持しています。つまりテタヌストキシンは、そのうちの抑制刺激を止めてしまうため、興奮刺激が過剰になるわけです。しかも、それが中枢で集中的に起こるというところが、「ほかの毒素が三下に思えるほど凶悪」と言わしめる所以です。

 特に神経毒は、中枢部分にのみ選択的に働くほど、超微量でも命を奪う傾向にあります。そういう意味では、まさにテタヌストキシンは「神経毒のエリート」ともいえます。超猛毒の割には致死までの時間が1週間~10日と長い理由は、致命的な量が脊椎に達するまで猶予があるからです。現在は神経繊維内を1時間に5mmの速度で移動することがわかっていますが、七三一部隊の人体実験報告にある「1日に10センチ移動する」という記述は概ね合っています。

コメント

1:匿名2016年10月17日 13:07 | 返信

対処療法→対症療法
ではありませんか?

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