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 中国政府が12億元(約185億円)を投じて同国南西部貴州省の山間部に建設した、500メートル球面電波望遠鏡(Five-hundred-meter Aperture Spherical radio Telescope、略称:FAST)がテスト期間を経て、先月25日稼働を開始した。


■サッカー場30個分の超巨大電波望遠鏡が稼動!

 単一の開口を持つ電波望遠鏡として世界最大となったFASTの反射鏡は、4,450枚ものパネルから成り、サッカー場30個分の大きさを持つ。また性能面では、これまで世界最大だったプエルトリコのアレシボ天文台にある電波望遠鏡(305メートル口径)の2倍の感度を誇るという。

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Daily Mail」の記事より

 中国国立天文観測所(NAO)の報告によると、稼働前のテスト段階で1,300光年先の電磁波の検知に成功している。このFASTにより、知的生命体の探査、パルス状の電波を発する天体や、超新星爆発によって生み出されるとされている中性子星の観測、さらにダークマターの分布の解明などに役立てられる、と期待が高まっているのだが、そもそも電波望遠鏡、そして電波とはどんな特徴を持つものなのだろうか。

 国際共同プロジェクト「ALMA計画」で日本側のプロジェクト・リーダーを務めていた石黒正人氏が、その著作『ALMA電波望遠鏡』(筑摩書房)で非常に分かりやすく解説している。

 電波望遠鏡とは、その名の通り宇宙から来る目に見えない電波を受信する装置である。温度のあるものであれば全て、その温度に応じた電波を放出している。つまり、宇宙のあらゆるものから電波は放出されているのだが、吸収されやすいという性質を持つうえ、地球からの距離があまりにも遠い場合もあり、地表に届く宇宙からの電波は極めて微弱なのだ。

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Daily Mail」の記事より

 波長の長いメートル波は主に電離層に、波長の短いミリ波やサブミリ波は主に大気に吸収される。大気の薄い高地に電波望遠鏡が建設されるのはこのためで、加えて微弱な宇宙からの電波を効率的に拾うためには、広い面積を持つアンテナが必要になる。高地に建設された世界最大の口径を誇るFASTは、それだけ人類の未知の領域に踏み込める可能性を秘めていると言えるだろう。

 ご存知のように、地球には宇宙(自然界)からの電波だけでなく、携帯電話・ラジオ・テレビなどに使用される人工的な電波も存在し、我々の暮らしに役立っている。しかし、この人工的な電波は宇宙からの電波に比べると極めて強いため、しばしば宇宙からの電波をキャッチする電波望遠鏡の障碍となる。つまり、電波望遠鏡の建設地として、人工的な電波というノイズが入りにくい人里離れた場所が理想的なのだ。

ALMA電波望遠鏡 (ちくまプリマー新書)

ALMA電波望遠鏡 (ちくまプリマー新書)

電波望遠鏡をわかりやすく解説

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