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大隅良典栄誉教授 画像は「KYODO NEWS」より引用

 今年のノーベル医学・生理学賞を授与された東京工業大学の大隅良典栄誉教授(71)。その受賞理由は、飢餓状態に陥った細胞が自らのタンパク質を分解してリサイクルする“自食作用”、すなわち「オートファジー」という仕組みを解明した功績によるものだ。このオートファジーは、細胞内に侵入した不要な物質や有害物質、病原菌などを分解し、細胞を防御する役割も果たしていることが解明されたというが……。

 前回の記事でトカナ編集部は、世界各地に続々と出現する不食人間たちを紹介し、彼らの体内で活発なオートファジーが起きている可能性について言及した。つまり、飲まず食わずの秘密はオートファジーにあるのではないかと考えたわけだが、今回はその疑問をサイエンスライターの川口友万氏にぶつけてみた! そして導き出された驚愕の事実とは!?


■サイエンスライターがオートファジーと不食人間の謎に迫る!

――まずは、オートファジーについて簡単な説明をお願いします。

川口友万(以下、川口)  「オートファジーを簡単に言えば、細胞が貯蔵している古いタンパク質を分解し、アミノ酸に変えて生き残る仕組みです」

「日々、細胞は入れ替わっていますが、その全てが新しく食べた物から作り出されるわけではありません。実は、使い古したタンパク質を分解して、次の細胞の材料にしているのです。1日に必要なたんぱく質は70グラムとされていますが、体の中で細胞の入れ替えに必要なたんぱく質は160~200グラム。口から摂取するタンパク質だけでは足りないのです。だから、古いタンパク質を分解して新しい細胞の材料にしなければならないのです」

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画像は「Wikipedia」より引用

「そして、飢餓状態に置かれた細胞でも同様のことが起きます。赤ん坊が生まれた時のことを考えてみて下さい。誕生後、へその緒からの栄養供給はすぐに切断されますね。しかし、生まれてすぐに母親の母乳は出ないため、赤ん坊は半日~1日は飲まず食わずです。普通に考えれば飢えてぐったりしそうなものですが、なぜか元気なままです」

「マウスの実験で、オートファジー機能の遺伝子をノックダウンしたマウスは、生まれてすぐに餓死することがわかっています。つまり、生まれたての赤ん坊が母乳を飲まなくても元気なのは、オートファジーのおかげなのです。そして、このオートファジーがどのように起きるのか、細かいプロセスを明らかにしたのが大隅教授の研究というわけです」


■不食、それはオートファジーの結果か?

――では、不食人間たちの体内では、今回ノーベル賞を受賞したオートファジーが起きているのでしょうか?

川口  「先ほど話した通り、生物は飢餓状態に置かれるとオートファジー機能が働き、細胞の中のタンパク質を分解してアミノ酸に変え、それを材料に代謝を行います」

「飢餓状態が長引けば、やがて筋肉まで分解して生き残ろうとします。でも、さらに行き着く先は? 餓死です。一線を越えて分解したら、あとは死ぬしかない」

「しかし世界には、常識では飢餓で死ぬはずなのに死なない、不食人間(=ブレサリアン)と呼ばれる人たちがいます。彼らは何ひとつ口にしません。しかし、これは普通に考えてあり得ないことです。そもそも、人間はビタミンCを体内で合成できないため、ビタミンCは食物から摂らないといけません。もしも摂らなかったらどうなるか?」

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