【衝撃】店頭に“犬の生首”… ハノイの犬肉料理店全貌！ 残酷な「犬肉ビジネス」の実態もレポート

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■一部の犬肉はタイから残酷な方法で運ばれてくる

この犬は食用犬とは関係なく、バンコクで保護された野良犬で、開放的な施設で元気になった。

　牛や豚のように多くの1頭から肉が多く取れるわけではないので、ベトナム国内で調達するだけでは足りなくなる。そんな事情もあり、実は一部では隣接はしていないものの、陸続きのタイから犬が入ってきている。

　タイ国内では犬を食べることは動物愛護法により禁じられている。ただ、東北地方の一部の地域――ラオスに近いサコンナコン県のある村だけが犬を食べるということで有名なのだが、ほかでは一切食べられていない。そのため、バンコクでさえも野良犬がたくさんおり、それらの犬を違法業者が捕獲してベトナムに輸出している。

　異文化批判をするわけではないが、犬を食べること自体がなかなか理解しがたい中、こういった違法業者がより許せないのは、捕獲した野良犬、あるいは誘拐してきた飼い犬をできる限りトラックにぎゅうぎゅう詰めにして運ぶという点だ。

　一説では犬の肉はアドレナリンなどが分泌されるとおいしくなるという。実際、人間でも動物でも死んでしまうと死後硬直が始まるのだが、そのときにアドレナリンが極度に分泌されていると硬直が早く始まる。スポーツ選手なんかは日常的に分泌されているので死後硬直は早いというし、弁慶が仁王立ちで死んだのもありえない話ではないのだ。その後の死後硬直が解けてからが牛や豚においては肉の熟成タイムであり、おいしくなると言われているわけだから、犬にも当てはまるのは百歩譲ってわからないでもない。

　ただ、韓国や中国の犬の屠殺業者はあえて犬に恐怖感を与えてから殺すという話もあるし、実際にタイの違法業者もトラックに圧死するほど犬を詰め込み、犬自身に負荷をかけながら輸送する。残虐なため、タイでも批判の的になり、警察でも摘発に躍起になるが、いたちごっこでなかなか撲滅にまでは至らない。

タイのNGO「ソイドッグ」のバンコク支部。専門獣医が常駐している

　タイでは警察のほかに欧米人やタイ人が運営する非政府組織（NGO）が野良犬保護や食用犬になってしまう犬を助ける業務に当たっている。それでも、日本よりも広い国土の中で暗躍する違法業者の動きを察知するのはなかなか大変なことで、警察と連携してもなかなか捕まえることはできない。また、保護しても多くの犬が圧死か病死した状態でもある。

　そういった犬たちを日本にいながらにして助ける方法もある。それはタイのNGO――例えば「Soi Dog Foundation」などへ寄付をしたり、引き取られた犬を里子にもらったりする方法だ。多くのNGOでは保護した犬を専門の獣医に治療させ、外国へも送れるような状態にして保護している。タイの野良犬は集団生活をしていたこともあって無駄吠えが少なく、しつけさえちゃんとできれば飼い犬にすることは難しくはないのだそうだ。犬食文化から逃れることのできた犬を助けたい方はぜひネットで調べてみてほしい。

　ハノイでも犬を飼う人が増えているように見受けられるし、数年前と比べて、そのドンスアン市場近くの犬肉食堂もずいぶんと少なくなったように感じた。ハノイっ子たちももう犬肉には飽きてくれているといいのだが……。
（文＝高田胤臣）

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