>  > 封印されたキングコングは雌で鉄のブラジャーを装備!?

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――絶滅映像作品の収集に命を懸ける男・天野ミチヒロが、ツッコミどころ満載の封印映画をメッタ斬り!

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※イメージ画像:『クイーン・コング』

『クイーン・コング』
1976年製作(イタリア・イギリス合作)
監督/フランク・アグラマ
出演/ロビン・アスクウィズ、ルーラ・レンスカほか

 来年3月に全米公開が予定されるキングコング映画の新作『KONG:SKULL ISLAND』(邦題未定)の映像が解禁された。映画業界では、このような大作が公開されると、コンセプトなどを模倣した粗製乱造品が横行するのが、常だ。だが、かつてハリウッドの超大物プロデューサーを激怒させ、完成後25年にわたって封印されていたパチモノ・コング映画があった。ブラジャーをした雌コングが登場する『クイーン・コング』がそれだ。そして、その封印を解いたのは日本の映画配給会社だった……。

 まずはキングコング映画の邦題についてのお断りを。1950年代まで隆盛を誇っていたRKOが1933年に製作した初代『キング・コング』は「・」があり、リメイクの1976年版『キングコング』には「・」が付かない。そして2005年のピーター・ジャクソン版は、初代にリスペクトして『キング・コング』。こういった公式表記は正確に伝えたい。

 さて、1976年版『キングコング』の製作は、パラマウントと共同で、フェデリコ・フェリーニの『道』(54年)にはじまりリドリー・スコットの『ハンニバル』(01年)といった、数々の名作を残した世界的プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスだ。『タワーリング・インフェルノ』(74年)のジョン・ギラーミンを監督に起用し、「猿を作らせたら世界一」と言われた特殊メイク・アーチストの第一人者リック・ベイカーがコングのスーツを作り、自ら中に入って演技した。

 だが製作発表と同時期に、老舗のユニバーサル社もコングのリメイク企画を進めていたことが発覚。裁判沙汰に発展するも、ラウレンティス側が勝訴し、彼の作品公開から18か月後でないと公開はできないという判決が下り、ユニバーサル社はコングから手を引く。

 こんな大物同士の戦いがあったにもかかわらず、恐れ知らずの男がパチモノ大国イタリア映画界にいた。フランク・アグラマ監督だ。アグラマは「よし、1933年版コングの主演女優フェイ・レイの名前をレイ・フェイと逆にして男に変え、コングは雌にしよう」と『クイーン・コング』を作っていたのだ。

 私がこの作品の存在を知ったのは、1977年に発行された『季刊 映画宝庫』創刊号「われらキング・コングを愛す」(芳賀書店)での、映画評論家・白井佳夫によるラウレンティス直撃取材「キング・コングを横取りした男」だった。記事によると、彼は目の前で部下に電話して『クイーン・コング』の制作状況の調査を厳しい口調で指示し、「そのフィルムが興行市場に現れることは決してないだろう、決して」と戦闘的に断言した、とある。ラウレンティスは、大作の製作発表を知るや類似作品を拙速に作り、事前に便乗公開してしまうというヨーロッパ映画界の悪習を許さなかったのだ。

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