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【ヘルドクター・クラレのググっても出ない毒薬の手帳】
番外編 硝石

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イメージ画像:「Thinkstock」より

 漫画『ドリフターズ』で、糞尿から火薬を作るという話が出てきますが、本当にできるのでしょうか?

 今回は毒の話ではなく、普通の化学の話の題材として「火薬」を取り上げてみようかと思います。

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ドリフターズ(1)』(少年画報社)

 火薬とは、皆さんも知っての通り花火の主成分であり、かれこれ何百年にわたって近接戦で最強の武器であり続ける「銃」の推進エネルギーの素です。鉄の筒に飛翔体(石でも鉛玉でも)が入っていて、その根元に火薬が入っていれば、もうそれは立派な銃です。火縄銃なんかは、当たれば致命的ですが、その適当な構造から命中精度はあまり高いとはいえませんでした。しかし近代の銃は、弾丸を回転させたり、火薬の性能を高めたりと、どんどん高性能になってきたわけです。

 たとえ3Dプリンターで銃が印刷できても、弾がなければただのプラモデル。そして弾は、仕組み自体はレトロでも、極めて効率的かつ緻密に作られており、DIYで簡単に作れるものではありません。故に、銃を3D印刷しても、弾が手に入らない国ではまず滅多なことでは脅威にはならないわけです。


■火薬の歴史

 閑話休題。話が銃に逸れましたが、銃を銃たらしめているものが火薬であって、火薬を火薬たらしめているのが酸化剤である硝石といえます。

 紀元前200年ごろ、秦の始皇帝が神仙思想より発展した道教の中で不老不死を研究させた「煉丹術(れんたんじゅつ)」の課程で、強い酸化剤として作用する硝石を発見しましたが、当時はまだ火薬としてではなく、漢方薬の1つの成分として研究されているにすぎませんでした(硝酸塩なので実際に血管拡張などの作用がある)。

 その後、8~9世紀の中国で、硫黄や黒炭に硝石を混合することで、小さな炎で爆発が起こる「火薬」が発明され、世界に広まっていったとされています。

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イメージ画像:「Thinkstock」より

 文献には「硫黄、硝石、炭、鶏冠石(ヒ素化合物)の混合物がたやすく発火する」という記述が残っており、この技術自体は8世紀初期に見出されており、次第に鶏冠石からより安全安価な硫黄へと置き換えられていったようです。

 ちなみに、花火が日本に伝わったのは1500年代末で、唐から伝来したと考えられています。当時の花火は、現在のドラゴン花火のようなものを大型化したようなもので、現代では長野の火祭りなどで使われているものに近い感じです。

 徳川幕府が開発を後押ししたこともあり、江戸末期には現在の花火の原型である「打ち上げ花火」が初登場します。その後、現在のような「花火らしい」形になったのは明治30年ごろの発明によるもので、炎色反応による色がついたのもその頃とされています。

 打ち上げ花火自体は近代のもので、時代劇で現代のような打ち上げ花火が見れるというのは設定的におかしいということになりますが、水戸のご老公が「OKOK 助さん ファイト!」と言ってたり、電柱が映っていたりするようなものなので、野暮なツッコミを入れずに黙っておきましょう。

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