>  >  > 食べると記憶が消える貝

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【ヘルドクター・クラレのググっても出ない毒薬の手帳】
第15回 ドウモイ酸
 

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画像は「Thinkstock」より引用

 本連載では様々な毒が登場しています。そして作用部位も三者三様、百人百様、千差万別。即死から死なないけれど自殺したくなるような苦痛を与えるものまで様々です。そんな中でも今回の毒はとびっきりの変わり者といえます。作用部位は脳主な毒性は記憶消去


■記憶喪失性貝毒

 1987年の11月から12月にかけて、カナダのプリンスエドワード島で、ムール貝の近縁種である10センチほどの食用の貝、ムラサキイガイを食べた人に中毒が発生する事件がありました。中毒者は153人、うち重症19名、3人が死亡と報じられています。

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ムラサキイガイ「Wikipedia」より引用

 その中毒の内容が極めて異質なもので、食後3~6時間で腹痛、下痢、嘔吐、流涎(りゅうぜん:唾液が止まらなくなる)などの海洋性毒素にありがちな中毒症状を引き起こすのですが、中毒者の大半に、凄まじい平衡感覚の消失天地が逆になったような感覚、さらに病院に見舞いに来た家族の名前を思い出せない上、誰なのかさえ認識できないという記憶障害が多発しました。様々な記憶がランダムに消失しており、その症例はアルツハイマー型認知症に酷似していたそうです。さらに、食中毒症状が収まっても記憶障害は改善せず、深刻な神経障害が残ったといいます。

 すぐにカナダ保健省が原因を特定するためのチームを発足。数日後、プリンスエドワード島の海域で採取されたムラサキイガイが食中毒者を出したレストランで提供されたものであることが判明しました。
 
 毒素の名前は、ドウモイ酸というアミノ酸の一種(厳密にはイミノ酸という特殊なアミノ酸)。

 赤潮の原因になることもある有毒珪藻(けいそう)や藍藻(らんそう)が作る毒素で、それらの有毒プランクトンを貝類が海水を濾しとって食べることから、ドウモイ酸が身の中に蓄積、毒化したものだったのです。

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