>  > 盲目の悪官が大暴れする『不知火検校』

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天野ミチヒロ

――絶滅映像作品の収集に命を懸ける男・天野ミチヒロが、ツッコミどころ満載の封印映画をメッタ斬り!

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画像:『不知火検校』

『不知火検校』
1960年・大映
監督/森一生
脚本/犬塚稔
出演/勝新太郎、中村玉緒、須賀不二夫ほか


 今の若者は、カツシンこと勝新太郎をどこまで知っているのだろうか? 1990年1月16日、ハワイのホノルル空港で勝は、麻薬をパンツの中に隠し持ち現行犯逮捕された。その後の記者会見で、勝は「もうパンツは穿かない」と述べ、流行語にもなっている。そこだけを抜き出して語るのも何だが、要は勝新太郎とは、ビートたけしや香取慎吾でリメイクもされた人気時代劇『座頭市』シリーズの主役の人である。実はこの『座頭市』には雛型となる映画があって、これがまたトンデモない作品で、とても現在の地上波では流せない過激な内容だった。

 大映は1960年、歌舞伎座で大ウケしていた芝居『不知火検校(しらぬいけんぎょう)』に目を付けた。演出も兼ねた原作者・宇野信夫は、生まれつき盲目の男が天性の悪知恵を駆使し、盲人の最高位である検校まで登り詰めていく「徹頭徹尾、悪い人間」をストレートに描いた。だがその内容は、盲官(盲人の役職)に対する一般的な同情心が生まれる余地もないほど悪辣極まりなく、永田雅一社長は製作に難色を示し、脚本の犬塚稔も「あまりに理不尽」と一度は辞退した。DVDが発売されているので、そちらで観たい方にネタバレ注意を促した上で、簡潔にストーリーを追っていこう。

■あらすじ

 祭りでにぎわっている街の中を知的障がいの留吉に手を引かれた盲目の少年(勝新太郎)が歩いている。少年は酒樽に鼻水を垂らし、誰も飲もうとしなくなった酒をくすねて母親に持って帰る。生まれつき目の見えない彼は、同情を武器に大人を騙して貧困を切り抜けてきた。そして毎日「オマエだってお金さえあれば立派な検校になれるんだよ。世の中、金だ」と母親から聞かされて育つ。

 それから10数年、少年は不知火検校に弟子入りし、杉の市という名で修行していた。杉の市は成績の芳しくない落ちこぼれだが、少年時代に磨かれた天賦の狡猾さは失われていなかった。ある日、師匠のお使い中に腹痛で苦しむ旅人に出会った杉の市は、彼が大金を持っていると知ると鍼治療をするふりして首筋の急所を突いて殺害(必殺仕掛人か!)。だが、偶然これを倉吉(須賀不二男)に目撃され脅迫されてしまう。すると杉の市は、「それじゃ儲けは山分けに」と即座に百両を与える。その気前よさを気に入った倉吉は、江戸での再会を約束し、別れた。

 しばらくして、杉の市が材木屋で施術しているところに3人の強盗が入り、主人と妾が殺されてしまう。だが一味の中に倉吉がいたため、これを機に4人はつるんで悪事を働いていくことになる。唯一殺されずにすんだ奉公人のおきみを杉の市は引き取るが、その晩のうちに犯されたため入水自殺する。「あれが、死ぬほどのことかよ。バカな女だ」と全く気に留めない杉の市。

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