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「ムー」編集長・三上丈晴の【ムー的書籍探訪】 第19回

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三上丈晴

――「世界の謎と不思議に挑戦する」をコンセプトに掲げ、UFOからUMA、都市伝説、陰謀論……と、さまざまな不思議ジャンルの話題で、読者に驚きと感動を与えてきた学研「ムー」。ここでは、そんな「ムー」を操る三上丈晴編集長が厳選した“マストブック”を紹介しながら、世の中の不思議に深く触れていただきたい。

【Tocana Reader's MustBook No.19】
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「ムー」 (2017年2月号)

 最近、某通信会社のCMでおなじみの桃太郎金太郎、そして浦島太郎といった昔話は、日本人ならだれでも知っている。

 ……と、思っているのは、大人だけらしい。最近の子供たちは、いわば定番ともいうべき昔話を知らないという。アニメキャラクターの『ポケモン』や『妖怪ウォッチ』に押されているのか。それとも、絵本で読む機会がないからなのか。

 考えてみれば、かつてはテレビ番組として『まんが日本昔ばなし』が放映されていたものだ。こうした事態に危惧をいだいたNHKはEテレの学校放送番組『おはなしのくに』で、こうした定番の昔話を扱うことにしたという。

 昔話のいくつかは中世の『御伽草子』がもとになっている。『浦島太郎』などは、さらに古く、なんと『日本書紀』に「浦嶋子伝説」として紹介されている。おそらく山幸彦・海幸彦伝説(山の猟が得意な山幸彦(弟)と、海の漁が得意な海幸彦(兄)の話で、神婚説話、理想郷に留まる内容となっている)が元になっているのではないかと考えられている。このように、昔話のルーツは古代に遡るケースがままあるのだ。

 そして、なかでも、古代史と関連づけて語られるのが『桃太郎』だ。

 桃太郎といえば、キビ団子である。鬼退治に臨むにあたって、家来として犬と猿と雉を従えるために与えたキビ団子のキビとは吉備のことだという説がある。現在の岡山県には吉備津神社と吉備津彦神社というふたつの古社がある。祭神は大吉備津彦大神、もしくは大吉備津彦命といい、第10代・崇神天皇の御代、この地方に派遣されてきた武将、吉備津彦とされる。

 伝説によると、吉備津彦は、この地方を支配していた温羅なる男を討って、吉備地方を平定したと言われている。

 居城とした場所が鬼ノ城と呼ばれることから、後に温羅は鬼と呼ばれ、退治した吉備津彦は桃太郎のモデルとなったという。今でも、岡山県は桃の産地でもあり、岡山駅の前には堂々たる桃太郎の像が誇らしげに立っている。桃太郎伝説の発祥地は岡山県であると、地元の人はもちろん、多くの日本人が信じてることだろう。

 しかし、岡山発祥説は時代的に新しく、提唱されたのは昭和に入ってからのこと。戦後になって、県知事が音頭を取って広めたことが〝桃太郎岡山発祥説〟のきっかけなのだ。何より、本来の黍団子を吉備団子と銘打ったのがウケらしい。

 逆説的にいえば、本当の桃太郎伝説発祥の地は、ほかにある。というのも、昔の絵本を見ると、背景には決まって富士山が描かれているのだ。事実、美しい富士山の姿を見ることができる山梨県の大月には、知られざる桃太郎伝説が語り継がれてきた。

 注目すべきは地名だ。大月駅の近くにある百蔵山は、かつて桃倉山と表記され、実際、かつて桃が植えられていた。周辺には鬼にちなんだ九鬼山があり、岩殿山には鬼の洞窟、周辺には鬼の石杖、鬼の立石といった史跡がある。何より、観光としても有名な猿橋のほか、鳥沢や犬目といった地名が集中しているのである。

 全国的には、ほとんど知られていなかった大月発祥地説が今、にわかに注目されており、なんと先日も、かのNHKが特集番組を組んだという。地元では、これを契機に大月桃太郎を盛り上げていこうと、いろいろ画策しているらしく、全国の桃太郎伝説の町や村と連携して桃太郎サミットまで企画している。

 村おこしは大いに結構だが、気になるのは桃太郎伝説の背景にある歴史である。古代の大月には何があったのか。鬼とは、いったいいかなる存在だったのか。詳しくは、月刊「ムー」2月号を読んでいただければ幸いである。


●三上丈晴(みかみ・たけはる)
1968年、青森県生まれ。学研「ムー」の5代目編集長。筑波大学を卒業後、学習研究社(現・学研)に入社。「歴史群像」編集部を経て、入社1年目より「ムー」編集部に所属。

●「ムー」
出版社:学研パブリッシング/発売日:毎月9日/税込価格:670〜690円/発行部数:7万部/概要:「世界の謎と不思議に挑戦するスーパーミステリーマガジン」として、UFOや超能力、UMA、怪奇現象、オーパーツ、陰謀論など、オカルト全般を追求する情報誌。
公式HP<http://gakken-publishing.jp/mu/

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