>  >  > 金正日の料理人・藤本氏日本料理店へ

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――北朝鮮旅行記『平壌ハイ』の著者・石丸元章が謎の北朝鮮ツアーを発見!

 金正男が暗殺された日から数日、奇抜なツアー広告を偶然発見した。題して「平壌にある日本グルメを食べに行こう! 3日間。北朝鮮への観光旅行を誘うネット広告だ。

 な、なんだこのツアーは? 

 広告を出しているのは、東京都東日本橋にオフィスを構える三進トラベルサービス。旅行者の注文に応じてツアーをオーダーメードすることで知られる旅行社だ。同社はまた、北朝鮮と特殊なパイプを持つ特殊旅行社としても知られている。

 北朝鮮へ観光旅行などできるんですか――!? 

 驚く読者もいるだろう。しかし驚くなかれ、拉致と核開発と暗殺の独裁国家北朝鮮は、観光に力を入れている観光立国でもあるのだ。
かくいう筆者も、かつて5泊6日の北朝鮮ツアーに参加し、『平壌ハイ』という旅行記を出版した経験を持つ(「平壌ハイ」文春文庫参照)。


■北朝鮮旅行の面白さ

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平壌ハイ (文春文庫) 

 北朝鮮旅行は、世界中どこを探しても他にない、奇妙なツアーの面白さに満ちている。平壌空港に降り立った瞬間から、旅行客たちには厳重な監視がつく。貸切り観光バスの運転手、現地ガイド、通訳。ツーリストの世話をする全員が、同時にまた、外国から来た観光客が勝手なことをしないように見張る、監視員の役目を兼任していのだ。

 北朝鮮を旅行する者に、自由時間は許されない。北朝鮮でのスケジュールは、時間単位で綿密に事前に決められていて、事前申告のない行動をとろうとすると、監視役に即座に停められてしまう。

 平壌に行っても、観光客は街中を自由に歩くことは許されない。市民たちに勝手に話しかけることも許されない。

 海外から来た観光客たちは、ツアー日程を通してほぼずっと、「いかに北朝鮮がいい国なのか」「いかに金正恩委員長が立派な人なのか」「いかにアメリカや日本は悪い国なのか」といった“真実”を知るための施設や展示に、連日連れまわされることになるのだが、そうした場所で金日成、金正日、金正恩といった歴代指導者にたいする無礼な態度をとるようならば、連行されて銃殺されてしまいそうな勢いだ。

 と聞くと――厳しく、窮屈で、恐ろしい、まったくつまらない旅のようだが、そうではない。じつは、そうした常軌を逸した厳しい監視体制とか、外国人へ対する異常な警戒ぶりを体験することこそが、北朝鮮ツアーの醍醐味であり、おもてなしなのだ。


■平壌にオープンした日本料理店!

 さらに広告は、ツアーの目玉として、平壌に開かれた日本料理店でのグルメを推奨している。北朝鮮唯一の日本料理店「たかはし」で店長をつとめるのは、金正恩の父である金正日国家指導者のもとで、長年にわたって寿司を握り続けてきた料理人藤本健二だ。昨年「平壌に日本料理店を作る」として築地のラーメン屋で修業。北朝鮮に入ったきり消息不明となり、一時は死亡説も出ていた藤本氏であるが、無事に開店にこぎつけたようである。

 時はまさに、金正男が暗殺されてすぐという、絶妙にバッドタイミングな開店のおしらせ。この開店を、喜んでいいのか恐がっていいのか、それはかわからないが、かつて埼玉県の春日部の寿司屋で働いていたという藤本氏の腕は、たぶん確かだ。……なはず。3泊4日で、ツアー料金202.000円が参考価格。ありきたりの観光旅行に飽きた旅行好きの読者は、参加してみてはどうだろう。ちなみに、北朝鮮の田舎の風景は、なかなかに絶景である。
(文=石丸元章/作家)

参照:三進トラベルサービス

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