>  >  > カニバリズム、幻覚、錯乱…世界で蔓延する「ゾンビ化ドラッグ」のヤバさを徹底解説

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【ヘルドクター・クラレのググっても出ない毒薬の手帳】
第20回 ゾンビドラッグ 前編

 以前この連載で大麻について紹介しましたが、その最後に「合成カンナビノイド」というものがありました。

 名前の通り、カンナビノイド受容体を標的とした化合物で、カンナビノイドの薬としての有効性を研究すべく合成された化合物群があるのですが、この研究がアンダーグラウンドケミストリーの世界で完全に脱法麻薬の製造に利用されています。

 脱法ドラッグ、危険ドラッグ、合法ハーブ、脱法ハーブなどで知られる、ここ数年急激に世界的に流行している新興麻薬があります。

 それらは、今まで知られてきた麻薬類(覚醒剤やヘロイン、コカイン、LSDといった古典麻薬)とは大きく違い、成分が一定ではなく、臨床試験すらされたことのないものが複数合わせられて出来上がったものです。その危険性は後述しますが、未知の領域に達しています

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合成カンナビノイドを含む植物片「Wikipedia」より引用

「バスソルト」「ブルースター」「ブラックマンバ」など、その効果は既存のどの麻薬にも該当しないもので、昏倒している様子や、痛みを全く感じず錯乱することなどから、ゾンビ化ドラッグなどとも呼ばれています。
 
 2012年、錯乱した乱用者が、ホームレスに襲いかかり、その顔面を食いちぎった上、駆けつけた警官に撃たれるも動じず、襲い続けた「マイアミゾンビ事件(コーズウェイ食人事件)」も有名ですが、その使っていたドラッグや成分についてはあまり広く知られていません。

 今回は、そうしたゾンビ化ドラッグの正体とメカニズムについてのお話です。


■ゾンビドラッグの配合1 主成分:合成THC類似体

 ゾンビドラッグと今日のハーブ系ドラッグは一見無関係に思えますが、実はおおむね同じ成分といえます。

 脱法ハーブなどという名称で売られている商品は、一見乾燥させた植物のように見えますが、実際は、何の効果もない乾燥させた植物(トケイソウやドワーフスカルキャップ、ライオンテール)で、そこにバスソルトのような薬剤の原末を振りかけてあるだけの話です。要するに、合成された人造THC類似成分やその他の薬剤を混ぜて、それっぽい効果を演出しているものといえます。

 その成分というのが、先述の合成THC成分とその他カチノン系ドラッグの合剤という感じなのですが、合成THCもカチノン系ドラッグも、誘導体(分子構造が少し違う類似物質)が作りやすいといった点から、作っている側もその中身を把握できていない場合も多くあります。

 まず最初に合成大麻成分とは何なのでしょう?

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THC「Wikipedia」より引用

 この合成THC類似成分というのは、現在確認されているだけで800種類を優に超え、その効果もかなりマチマチで、THCと同等程度のもの、THCより幻覚を引き起こすもの、痛みを抑える効果が異様に強いものなど、もともと多様な効果があるTHCの類似体なので、それぞれの特徴が極めてランダムに、ものによっては異常に強くでるという側面があります。

 これらの薬剤自体は、大麻の代用品として開発されたわけではなく、癌などのひどい痛みを伴う病のために、モルヒネ以外の鎮痛剤を開発しようとして研究されたものです。

 大きく分けて、「JWシリーズ」と呼ばれる分子の基本骨格が同じもの、「CPシリーズ」と呼ばれる基本骨格を持つものに分けられます。
 
 これらの始まりは、1970年代にアメリカの製薬企業、バイアグラでも知られるファイザーがTHCの鎮痛成分を高めた類似体の研究を行い論文を提出、これが現在脱法ハーブの成分として知られるCPシリーズと呼ばれる合成大麻類似成分となっています。

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