キレやすくなる人間、自殺・犯罪の増加… 原因は気候変動だった！ 専門家が断言「温暖化は精神障害につながる」

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■ここまで深刻だった!? 災害時や温暖化に見る精神的影響!!

　「Popular Science」の記事より

　しかし、問題は災害そのものだけではない。人間の多くは単一のストレスならば乗り越えることができるが、災害時の状況下ではストレスの要因が複数に増え、対処しきれなくなることも問題となる。

　アメリカ、オハイオ州のウースター大学で心理学を教えるスーザン・クレイトン教授は、その例の一つに「場所」を挙げている。物理的な場所、特に家は人間にとって重要であり、住み慣れた場所から移動する行為は精神的にも影響を及ぼすと訴えている。災害時に自身の家や仕事を失い、そして心の支えとなっていたであろう近所づきあいも失うという事態に陥った場合、それは今まで自らが築き上げた全てから自らの居場所を永遠に奪われてしまうも同然なのだという。

　さらに、気候変動が続くことによって地球温暖化も深刻になる。例えば気温や湿度が上昇するにつれて人間は激高しやすく攻撃的になるといわれており、その環境から逃れるべくできるだけ屋内にとどまって時間を過ごすようになれば、さまざまなデバイスに慣れ親しんでいる若い世代ですら必要とされる最低限の外界とのつながりを築いたり保つ事が難しくなるだろうと見られている。

　慢性的にこのような精神的影響を受けることは想像以上に苦痛であるだけでなく、これらが地域や社会全体の結束力を脅かすことになると示唆している。

　またクレイトン教授は気候変動で起こる環境の変化について「不快なまでのレベルの高温多湿は、人間の持つ激しい衝動を抑制しづらくしてしまう。自殺や犯罪の発生件数にも関係するでしょう」と語る。

　今回の報告は問題を明らかにしただけでなく災害対策を含む気候変動の根本問題に正面から向き合い、局所的な視点で地域社会の回復にも言及している。

　アメリカ心理学会、科学分野の事務局長であるハワード・カーツマン氏は「これまで評価されることのなかった気候変動とストレスの関連性ですが、これらが要因だということを理解した上で、我々は人間の精神衛生の問題に取り組まなくてはならないのです」と語った。

画像は「Wikimedia Commons」より

　気候変動が災害を起こし、生物に多大なストレスを与える――。今から行動しても遅いという声もないわけではないが、地球規模で環境問題に取り組めば急激な気候変動や増え続ける精神障害にも歯止めがかけられるのだろうか。自らの暮らしぶりを見直してみようと襟を正さずにはいられない。
（文＝清水ミロ）

参考：「Popular Science」、「ecoAmerica」、ほか

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